「ぼたん」に「もみじ」…江戸時代に生まれた隠語の由来
2月9日は「肉の日」。今回は、日本で古くから冬の滋養のために親しまれてきた「ジビエ」に注目。栄養士の視点から、その歴史的な豆知識と驚きの栄養価について解説します。
“2(に)9(く)”の語呂合わせから、毎月29日の「肉の日」に焼肉などを楽しむ人も多いことでしょう。2月は、2月9日が「肉の日」です。
この記事では、肉の中でも日本で古くから冬に滋養のために食べられてきた「ジビエ」について、栄養士視点で解説していきます。そもそもジビエとは、食材となる野生鳥獣肉を指すフランス語。ヨーロッパでは貴族の伝統料理として発展し、現在もノーベル賞の晩餐会(ばんさんかい)でメインディッシュにシカ肉が提供されるなど、格の高い食材です。
実は日本でも、ジビエという言葉がない昔から狩猟肉を食べてきた文化があります。俳句の冬の季語である「薬食い(くすりぐい)」は、滋養をつけるためにシカやイノシシなどの獣肉を薬として食べていた江戸時代の風習に由来します。
当時は肉食がタブーとされていたため、肉を扱う業者は薬売りのふりをして、イノシシ肉を「ぼたん(牡丹)」、シカ肉を「もみじ(紅葉)」と植物の名前に言い換えて流通させていたそうです。今でも「ぼたん鍋」「もみじ鍋」と呼ぶのは、その名残なのです。

貧血気味の人におすすめのイノシシ肉
イノシシは肉の色が牡丹の花に似ているため「ぼたん肉」、鯨(くじら)の肉に似た滋養があることから「山くじら」とも呼ばれてきました。豚肉に近い味わいですが、山の中を動き回っているため肉質はややかためで独特の風味があります。
特筆すべきは、イノシシ肉の濃い赤色に象徴される鉄とビタミンB12の含有量。貧血を予防する鉄は豚肉の約4倍、“造血ビタミン”の別名があるビタミンB12は豚肉の3倍含まれています(※1)。また、免疫細胞を活性化させる働きがある亜鉛も豚肉より多めです。
(※1)参考文献:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。イノシシ肉(脂身つき/生)と豚肉(大型種肉/かたロース/脂身つき/生)を比較。


