幼稚園の先生のおかげで、夫に向き合うことを決めた、ゆうか。しかし、帰宅後、予想外のできごとが…。うろたえる夫に対し、ゆうかが下した決断は…。
予想もしていなかった展開
先生にはげまされ、私は決意を固めました。そして、帰宅後すぐに、離婚手続きについて調べ始めました。
ともあきの更生を待つ猶予はありません…。
彼との対決に備え、証拠を整理し、弁護士への相談も視野に入れ始めました。しかし、その日の夜、事態はだれもが予想しなかった方向へ、急転直下しました。
リビングから、ともあきの悲鳴に近い絶叫が聞こえてきました。
「うそだろ……! そんな、そんなはずない! オレの、オレのデータが!」
さすがに、何ごとかと思い、かけつけると、彼はパソコンの画面を食い入るように見つめ、絶望にうちふるえていました。画面には、赤字で無機質な通知が表示されていました。
「本サービスは、開発会社の破産申請に伴い、本日をもってすべてのサービスを終了いたしました」
夫の"手のひら返し"に怒りが込み上げ…
運営会社の突然の倒産により、サーバーが一瞬で遮断されたのです。
データは消去され、ログインすら不可能…。彼が途方もない時間を費やし、大金を注ぎ込み、家族をうらぎってまで守ろうとした仮想世界は、一瞬にして消え去りました。
当然、ゲーム内での人間関係も、お気に入りだったA子とのつながりも、一瞬で断ち切られました。さすがにこれは私も想定外で、あ然とするしかありませんでした。
ともあきは、それから数時間、魂が抜けたようにリビングの床に座り込んでいました。そして、翌朝、彼は信じられないほどしょんぼりとした様子で、私の元へやってきました。
「ゆうか…。やっぱり、何ごとも依存は良くないな。僕がまちがっていたよ。あんな実体のないものに夢中になっていたなんて…。これからは、心を入れ替えて家族をだいじにするよ」
その言葉を聞いた瞬間、私の中でどす黒い怒りの感情が噴き上がりました。地雷をふみ抜くような、「都合のいい手のひら返し」でした。

