一度も手土産がないママ友
彼女の家で遊ぶことになった際、私は必ず手土産を持参します。
それが、招かれた側の最低限の"マナー"だと考えているからです。子どもたちがよろこぶ季節の果物や、小分けにされた焼き菓子…。時には、みんなで食べられるようにと、デパ地下のお惣菜を買い込むこともありました。
しかし、彼女がわが家に遊びに来るときは、その手に差し入れがにぎられていることは、一度もありませんでした。
「るいさん、おじゃましまーす!わあ、今日も部屋きれいだねー」
笑顔で入ってくる彼女は、いつも自分の小さなバッグ一つだけ。
手土産なんてもちろん持ってきていません。
私の用意したおかしをおいしそうに食べ、飲み物を何杯かおかわりし、夕方になると「たのしかったね、またね!」と嵐のように去っていきます。
不公平感にモヤモヤが募る
最初は、「忘れたのかな」と思っていました。
2回目、3回目と続くうちに、「彼女の家ではこれが普通なのかな」と、自分を納得させようとしました。
しかし、彼女は、私が彼女の家へ持っていく数々の差し入れを、当然のように受け取っているのです。自分がもらう時は当然で、手土産を持参することには、無関心…。
その不均衡な関係に、私の心にはじわじわと「憂鬱(ゆううつ)」という名の毒が回っていきました。
彼女の息子が、わが家のリビングでおもちゃを広げ、私が用意したジュースをこぼし、それを私が片付ける…。その横で、綾さんはスマホをながめながら、「あ、ごめんねー」と笑っている。
その光景を見るたびに、「私は自分の心がせまいのではないか」と自問自答し、同時に、彼女に対する拒否反応が強まっていくのを感じずにはいられませんでした。
この不公平感が、モヤモヤを助長させていったのです。

