妊娠の可能性があるとき、婦人科で子宮がん検診や乳がん検診は受けられる?メディカルドック監修医が受けられる検査・避けたほうが良い検査などを解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
婦人科受診で確認が必要な妊娠の可能性とは?
妊娠の可能性があるとき、「子宮がん検診や乳がん検診は受けても大丈夫なの?」「赤ちゃんに影響はない?」と不安になる方は少なくないでしょう。
婦人科検診には妊娠中でも実施できる検査と、注意や延期が必要な検査があります。この記事では、妊娠の可能性がある場合に受けられる検査・注意が必要な検査を中心に、受診前に知っておきたいポイントを解説します。
妊娠の可能性がある状況は?
医療現場では、以下のような場合を「妊娠の可能性がある」と判断します。
性交渉があり、次の月経がまだ来ていない
月経予定日を過ぎている、または周期が乱れている
避妊に失敗した、避妊できたか不確かな性交渉があった
妊娠検査薬をまだ使用していない、または使用時期が早い
妊娠初期は自覚症状が乏しいことも多く、本人が気付かないまま検診を受けるケースも珍しくありません。そのため、婦人科や健診の受付では、妊娠の可能性について必ず確認されます。
妊娠初期の症状
妊娠初期には、ホルモンバランスの急激な変化により、心身にさまざまな変化が現れることがあります。ただし、症状の現れ方や強さには個人差があり、ほとんど自覚症状がないまま妊娠が進行するケースも少なくありません。
代表的な症状として多いのが、月経の遅れです。妊娠が成立すると排卵や月経が止まるため、月経周期が比較的安定している方では、妊娠に気付くるきっかけになります。一方で、もともと月経不順がある場合は判断が難しいこともあります。
また、乳房の張りや痛み、乳頭の違和感も妊娠初期にみられやすい症状です。女性ホルモンの影響により、胸が張ったり、下着がきつく感じたりすることがあります。
悪心・嘔吐(いわゆるつわり)も代表的な症状の一つです。妊娠5〜6週頃から現れることが多く、においに敏感になる、食欲が変化するなどの症状を伴う場合もあります。ただし、つわりの有無や程度にも個人差があります。
そのほか、強い眠気やだるさ、疲れやすさを感じる方もいます。妊娠初期は体が妊娠状態に適応しようとする時期であり、十分な休息が必要です。
さらに、下腹部の違和感や軽い痛み、頻尿、便秘などがみられることもあります。
これらの症状は、妊娠以外の体調変化や月経前症状と区別がつきにくいことも多いため、妊娠の可能性が少しでもある場合は、自己判断せず医療機関に相談することが大切です。
妊娠の可能性がある場合でも、受けられる検査は?
妊娠の可能性があっても、母体や胎児への影響がほとんどない検査は実施できます。
問診・視診
問診や外陰部・腹部の視診は、妊娠の有無にかかわらず実施可能です。
月経歴、性交渉の有無、体調変化などを正確に伝えることで、適切な検査選択につながります。
子宮頸がん検診
妊娠中、または妊娠の可能性がある場合でも、子宮頸がん検診(細胞診)は原則として受けることが可能です。ただし、これは健康診断の一環として婦人科検診を受けようとする場合、医療機関によっては不可とされることもあるため、事前に確認しておくようにしましょう。
子宮頸がん検診は、子宮の入り口にあたる子宮頸部の細胞を専用の器具で軽くこすり取り、がんや前がん病変の有無を調べる検査で、胎児が存在する子宮内腔には直接触れません。
このため、妊娠そのものが検査の妨げになることは少ないと考えられます。実際に、妊婦健診の一環として、妊娠初期には子宮頸がん検診(細胞診)が1回必要に応じて行われます。
また、子宮頸がんは初期には自覚症状がほとんどないことが多く、検診による早期発見が非常に重要な病気です。妊娠をきっかけに医療機関を受診する機会が増えるため、「しばらく検診を受けていない」という方は、妊娠中であっても検査を勧められる場合があります。
一方で、妊娠中の子宮頸部は血流が豊富で、刺激により少量の出血が起こりやすい状態です。そのため、妊娠している、または妊娠の可能性がある場合には、必ず事前に医師や受付に伝えることが重要です。医師は、器具の種類や検査時の操作をより慎重に行い、必要に応じて検査時期を調整します。
超音波検査
婦人科検診での超音波検査は、腟からプローブを挿入する経腟エコーが多いと考えられます。超音波検査(経腹・経腟)は放射線を使用しないため、妊娠中でも安全性が高い検査です。そのため、妊娠の可能性がある場合でも、超音波検査を受けることは可能です。ただし、子宮頸がん検診の一環として受ける場合、医療機関によっては事前に医師と相談することが求められる場合があります。もし妊娠の可能性があるのであれば、きちんと申告することが大切です。
一方で、妊婦健診の場合には、胎児の状態をチェックするなどの目的で、妊娠期間中に何回か超音波検査が行われることがあります。
なお、乳腺エコー検査は妊娠の可能性があっても受けられるケースが多いでしょう。

