無症状の「血尿」は“膀胱がん”のサイン? 原因となる病気や症状を解説!【医師監修】

無症状の「血尿」は“膀胱がん”のサイン? 原因となる病気や症状を解説!【医師監修】

血尿の背景には感染症や結石、腫瘍など多様な疾患が潜んでいます。泌尿器系の病気だけでなく、全身性の病気や薬剤の影響も考慮する必要があるため、正確な診断が欠かせません。膀胱炎のように比較的身近な疾患から、がんのような重大な病気まで幅広い可能性があります。ここでは血尿を引き起こす代表的な疾患と、尿路感染症との関係について詳しく見ていきます。

村上 知彦

監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

血尿の主な原因

血尿の原因は多様であり、泌尿器系の疾患だけでなく全身性の病気や薬剤の影響も考慮する必要があります。原因疾患によって症状や治療法が異なるため、正確な診断が重要です。

血尿を引き起こす代表的な疾患

感染症による血尿では、膀胱炎や腎盂腎炎が頻度の高い疾患です。膀胱炎は細菌が膀胱内で増殖し炎症を起こす病気で、排尿時の痛みや頻尿、残尿感を伴います。腎盂腎炎は膀胱炎が腎臓まで波及した状態で、高熱や腰痛、悪寒が現れることがあります。
尿路結石は、腎臓や尿管、膀胱に結石が形成され、尿の流れを妨げたり粘膜を傷つけたりすることで血尿が生じます。激しい痛みを伴うことが多く、特に尿管結石では側腹部から下腹部にかけての激痛が特徴的です。結石の大きさや位置によっては自然排石が期待できますが、大きな結石や症状が強い場合は内視鏡的治療や体外衝撃波結石破砕術が選択されます。
腫瘍性疾患では、膀胱がんや腎がんが血尿の原因となります。膀胱がんは無症候性(痛みなどの自覚症状がない状態)の肉眼的血尿が繰り返し出現することが多く、喫煙歴のある方や化学物質への曝露歴がある方にリスクが高いとされています。腎がんは初期には無症状であることが多く、進行すると腰痛や腹部腫瘤、体重減少などが現れます。
糸球体腎炎や腎血管系の疾患も血尿の原因となります。IgA腎症は日本人に多い慢性糸球体腎炎であり、上気道感染後に肉眼的血尿が出現することがあります。また、血液疾患や抗凝固薬の使用により出血傾向が高まり、血尿が生じることもあります。

尿路感染症と血尿の関係

尿路感染症は、細菌が尿道から侵入し膀胱や腎臓で増殖することで起こります。膀胱炎は女性に多く、排尿時の痛みや頻尿、残尿感が典型的な症状です。炎症により膀胱粘膜が傷つき、血尿が混じることがあります。通常は抗菌薬による治療で数日以内に改善しますが、再発を繰り返す場合は背景に尿路の構造的問題や免疫機能の低下が隠れていることもあります。
腎盂腎炎は、膀胱炎が上行性に腎臓まで波及した状態であり、高熱や腰痛、悪寒戦慄を伴います。血尿とともに膿尿や細菌尿が検出され、重症化すると敗血症に至る危険性もあるため、早期の抗菌薬投与と十分な水分摂取が重要です。糖尿病や免疫抑制状態の方では、感染が重症化しやすいため注意が必要です。
尿路感染症による血尿は、適切な治療により速やかに改善することが期待できます。しかし、症状が軽快しても尿検査で血尿が持続する場合は、ほかの原因が潜んでいる可能性があるため、追加の検査が推奨されます。

まとめ

血尿は、さまざまな原因により生じる重要なサインです。軽度の炎症から重大な疾患まで幅広い可能性があるため、血尿を自覚した際は自己判断で放置せず、速やかに医療機関を受診することが大切です。男性では前立腺肥大症や膀胱がん、女性では膀胱炎や腎盂腎炎が頻度の高い原因であり、年齢や性別、随伴症状によって鑑別すべき疾患が異なります。
尿の色調や排尿時の症状を観察し、医師に正確に伝えることで、適切な診断と治療につながります。鮮やかな赤色の血尿は膀胱や尿道からの出血を示唆し、暗赤色や茶褐色の血尿は腎臓や尿管からの出血を示唆することが多いです。また、痛みや発熱、頻尿などの随伴症状も重要な情報となります。
早期発見により治療選択肢が広がり、予後の改善が期待できるため、血尿を軽視せず専門医に相談しましょう。特に40歳以上で肉眼的血尿が出現した場合は、悪性腫瘍の可能性を念頭に置いた精密検査が推奨されます。健康診断で顕微鏡的血尿を指摘された場合も、放置せず医師に相談し、必要に応じて精密検査を受けることが重要です。適切な対応により、安心して日常生活を送ることができます。

参考文献

日本腎臓学会「血尿診断ガイドライン2023」

J-Stage「慢性腎臓病(CKD)の早期発見・早期治療の推進」

国立がん研究センター「膀胱がん」

配信元: Medical DOC

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