”ゴミ屋敷”掃除で依頼主の再出発を支援…YouTubeでの活動を元に描かれる人間ドラマに「明日は我が身」と反響【漫画】

”ゴミ屋敷”掃除で依頼主の再出発を支援…YouTubeでの活動を元に描かれる人間ドラマに「明日は我が身」と反響【漫画】

ブラック企業でうつ病になり、ゴミ屋敷の住人になった女性
ブラック企業でうつ病になり、ゴミ屋敷の住人になった女性 / (C)ゴミ屋敷専門パートナーズ、もづこ/KADOKAWA

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、YouTubeのゴミ屋敷掃除動画が多くの反響を集めている「ゴミ屋敷専門パートナーズ」の活動をコミカライズ化した『ゴミ屋敷専門パートナーズの現場日報 レベルMAXの人生お片付け』(監修、著・ゴミ屋敷専門パートナーズ/漫画・もづこ)をピックアップ。

2025年8月20日に発売された本作について、本記事では「ゴミ屋敷専門パートナーズ」代表取締役社長・石田毅さんにインタビューを行い、仕事にかける想いや書籍を通して伝えたいことなどについて語ってもらった。

■人生の再出発を手伝う“ゴミ屋敷掃除”の仕事を描いた物語
『ゴミ屋敷専門パートナーズの現場日報 レベルMAXの人生お片付け』より
『ゴミ屋敷専門パートナーズの現場日報 レベルMAXの人生お片付け』より / (C)ゴミ屋敷専門パートナーズ、もづこ/KADOKAWA

ブラック企業で働いていた川本千絵美(24歳)は、うつ病の診断を受けて退職した後、一人暮らしの家から一歩も出られなくなっていた。そして、いつの間にかゴミ屋敷の住人になってしまった千絵美を心配した兄の提案で、今の生活から脱するため「ゴミ屋敷専門パートナーズ」への依頼を決意する。

依頼日当日、スタッフが家に来たときには「恥ずかしい」「まともに片付けもできないなんて最悪」と自分を責めていた千絵美。しかし、綺麗になった部屋を見て引っ越してきた当時のキラキラとした初心を思い出し、ここからまた新しい第一歩を踏み出す活力を手に入れたのだった。

その後、千絵美はスタッフからの提案で「ゴミ屋敷専門パートナーズ」の一員として働くことになる。自分と同じように様々な事情でゴミ屋敷になってしまった依頼主と出会い、その悩みに丁寧に寄り添いながら仕事をするスタッフ達と一緒に働く中で、千絵美は少しずつ成長し、前に進んでいく――。

本作は、「ゴミ屋敷専門パートナーズ」の仕事を通じて、綺麗になった部屋とともに依頼主の心が明るい方向へ進んでいく様子が描かれている。また、片付けのノウハウやアドバイスも紹介されているため、ストーリーを楽しみながら掃除のコツも学べる一冊だ。本作の読者からは「決して他人事ではない」「もしかしたら私もごみ屋敷に住んでいたかも」などの反響が寄せられている。

■ゴミ屋敷専門パートナーズ 代表取締役社長・石田毅さん「ゴミ屋敷の片付けは単なる掃除ではなく、人生の再スタートのお手伝い」
ゴミ屋敷専門パートナーズ 代表取締役社長・石田毅さん
ゴミ屋敷専門パートナーズ 代表取締役社長・石田毅さん / 画像提供:ゴミ屋敷専門パートナーズ

――「ゴミ屋敷専門パートナーズ」を立ち上げたきっかけをお聞かせいただけますでしょうか?

ゴミ屋敷専門パートナーズを立ち上げたきっかけは、小さな小低学年の女の子との出会いと苦い経験にあります。不用品回収の依頼を受けてました。訪れた2LDKのお住まいは、大人の膝丈くらいまで食べ残しのゴミや生活用品で埋もれたゴミ屋敷でした。そこに小学校低学年くらいの女の子とワンちゃん2匹、ご依頼主であるお母さんが暮らしていました。ご依頼者様は恥ずかしさもあったと思います。

見積もり時に、『お母さんを呼べるかな?』と話をしていると、部屋の奥から怒鳴り声で、『娘に頼んでるから!!』って言われてしまい、最初から最後まで対応してくれたのはその女の子で「今日はよろしくお願いします」のご挨拶に始まり、私たちの去り際まで丁寧で礼儀正しい大人びた対応に心底驚かされました。

お支払いの段階になってもご依頼主様は出てこられず「お母さんは奥にいて、私が対応していいですか?」と代わりに女の子から回収費用を手渡されました。そして「今日はほんまに申し訳なかったです。こんなに汚い家に来てもらって、こんだけ回収してもらって。すごい助かりました。おつりは要りませんので、みなさんのご飯代にしてください」と、気遣われてしまいました。「お金もないんで、これからできるだけちょっとずつ片付けていこうと思うんです」と話されていたのに却って申し訳なく、「いやこれごめん、お母さんにいいよっていわれていると思うけど、これ受け取られへんわ、お兄ちゃんは」とお断りして心苦しい思いを抱えたまま現場を後にしました。その日の夜から、女の子のことが思い出されて寝つけませんでした。申し訳ない気持ちにさせてしまった、もっとなにかしてあげられなかったか、どうしたら解決できるのか。考え抜いた末に、「ゴミ屋敷専門の会社であれば気を遣わずに依頼できるはずだ」と決意して、ゴミ屋敷専門パートナーズを立ち上げました。

――お仕事をする上で心掛けていることをお聞かせください。

僕達は片付けのプロフェッショナルとして社員1人1人教育をしてきております。

丁寧、安い、作業が早いのは当たり前の事で、まず1番に心掛けてる事。

(大事に思っている事は)お客様が僕たちにどうして欲しいのか?を大事にしております。お客様が僕たちに、どんな思いで頼んでくれたのか?なぜ僕達にご依頼頂いたのか?をまず考えて、(見積もり時にヒヤリングし)自分達がこうしたい‼︎ではなく、お客様の気持ちを汲み取って作業を心がけております。ご依頼頂いた時に、ただ片付けるだけなら、僕達ではなく、別の業者でも変わらないと思います。

なぜ僕達なのか?をお話しし、お客様の要望に耳を傾けて片づけを行なっております。

――YouTubeの公式チャンネルは、どれも再生数が多く680万回再生以上の動画もありました。視聴者からのコメントもたくさん寄せられていますが、お仕事の様子やゴミ屋敷に集まる反響について感想をお聞かせください。

公式チャンネルを立ち上げた当初は、ここまで多くの方に見ていただけるとは正直想像していませんでした。再生数が680万回を超える動画もあり、現場での活動が社会的な関心事になっていることを実感しています。コメント欄には『自分の家族もこうだった』『怖くて頼めないけどパートナーズなら頼みたい』『勇気をもらえた』『人生詰んでどうしようもなく、生きていくのが辛い』といった共感の声や、『片付けてもらって人生が変わった』という感謝の声がかなり届きます。なかには『自分も片付けられずに悩んでいる』と打ち明けてくれる方も多くて、僕たちの発信が、孤独の中で悩んでいる人に届いているのだと実感します。

ゴミ屋敷の片付けは単なる掃除ではなく、人生の再スタートのお手伝いだと思っています。多くの方にそのリアルな現場を知っていただき、社会的な偏見を少しでも減らせることが、僕たちにとって大きな励みになっています。

――動画の中で、扉を開けた瞬間からゴミがいっぱいだった家を見た石田さんが「興奮する」「やりがいを感じている」と言っていたのが印象的でした。このお仕事をされている中で、「この仕事をやっていてよかった」と思う瞬間を教えてください。

荷物の多い少ないは関係なく、お客様からすると、本当に毎日困ってる方が多く僕達にご依頼して頂けます。実は毎回作業後に『ありがとうございます‼︎』と言っていただける時には、いつも思っております。

また、色んな悩みを持った方が僕達にご依頼いただけます。片付けが終わったあとに依頼者さんの表情が変わる瞬間もやっていてよかったなーと感じます。最初は不安や恥ずかしさでうつむいていた方が、部屋がきれいになったときに涙を流したり、『人生諦めてました』などおっしゃってた方が、『これでまた新しい人生を始められる』と笑顔を見せてくださる。あの瞬間に立ち会えることが、僕にとって一番のやりがいであり、この仕事を続けるガソリンになっています。
『ゴミ屋敷専門パートナーズの現場日報 レベルMAXの人生お片付け』より
『ゴミ屋敷専門パートナーズの現場日報 レベルMAXの人生お片付け』より / (C)ゴミ屋敷専門パートナーズ、もづこ/KADOKAWA

――漫画『ゴミ屋敷専門パートナーズの現場日報』では、ゴミ屋敷専門パートナーズさんのお仕事や現場でのエピソード、石田さんの仕事にかける思いなどが描かれていますが、本作の中で特に注目してほしいポイントや伝えたいことをお聞かせください。

この漫画では、ただ“ゴミを片付ける”という作業だけでなく、その裏にある人の人生や想いを描いています。ゴミ屋敷になってしまうのには必ず理由があって、孤独や家族関係、心の葛藤などが背景にあります。 特に注目してほしいのは、2つ 片付けの過程で見つかる『人の想い』です。例えば、亡くなった家族の写真。涙でにじんだ家族写真…。それらが依頼者さんの人生と深く結びついていて、僕たちはただの清掃業ではなく、“人生の整理”をお手伝いしているのだと実感します。もう1つは猫屋敷の現場です。猫屋敷のエピソードは、動物好きの方ならきっと胸に響く場面だと思います。依頼者さんが抱えていた思いや事情に寄り添いながら片付けていく姿を通じて、ただ片付ける以上のものを感じていただけるはずです。ゴミの問題を越えて、人と動物、そして心のつながりが見えるシーンなので、注目して読んで欲しいです。読んでくださる方には、“ゴミ屋敷”という言葉の先にある人の温かさや苦しみを知っていただき、少しでも偏見をなくしてもらえたら嬉しいです。

――作中、“汚部屋度LEVEL”を10段階に分けているという話が出てきますが、どの程度の汚れ具合から“ゴミ屋敷”に分類されるのでしょうか?どれだけ汚い状況でも、逆にレベル1にも満たない汚部屋具合でも依頼はできるのでしょうか?

ゴミ屋敷の定義はなく、正直なところ『ゴミ屋敷かどうか』を決めるのは依頼者さん自身の感覚が大きいです。例えば、ゴミ袋の周りにゴミ袋が何袋かあり、テーブルには、弁当の容器やペットボトルが数本ある場合でもゴミ屋敷と言う人もいております。僕達業者目線で言うと、いわゆるゴミ屋敷と呼ばれるのはレベル10のうち、5、6以上かなと思います。レベル1以下のお客様の場合もちろん可能です。

ご依頼者様からは、『レベル1にも満たないけど、このままでは不安』『片付けのきっかけが欲しい』というご相談も多くいただきます。僕たちにとってはレベルの大小よりも、まず相談する事の大事さを伝えております。小さな悩みを放置しないことが、ゴミ屋敷化を防ぐ一番のポイントだと考えています。

――最後に、ゴミ屋敷の片付けに悩んでいる人へメッセージをお願いします。

この度記事を最後まで読んで頂きましてありがとうございます。僕達ゴミ屋敷専門パートナーズは、誰もが前を向いて生活できる社会を実現すると言うビジョンを掲げております。ゴミ屋敷になられる方の多くは、日ごろ人のために懸命に働いていて、自分のことは後回しになっている方たちだと感じています。忙しすぎたり、辛いことがあったり、孤独を感じていたりすると、心身共に余裕がなくなって片付けに手が回らずゴミ屋敷化してしまう。これは決して特別なことではありません。僕達はそのようなゴミ屋敷で困っている人、悩んでいる人が「申し訳ない」「恥ずかしい」と思わずに安心して相談できる環境を作って、二度と同じ状態に戻らないように真剣に向き合いケアすることを大切にしております。ゴミ屋敷を片付けることに加えて、お客様の心の重荷が少しでも軽くなるように温かく寄り添えるのが私たちの片付けサービスであり、社会的意義があるという信念を持っています。これからも「ゴミ屋敷専門パートナーズと出会えて本当によかった、ありがとう」と感謝され、頼られる会社であり続けるために、初心を忘れずお客様のことを第一に考えて、誰もが前を向いて生活できる社会の実現をめざし取り組んでいきます。

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