企業のインターンシップに参加している学生に対して、他の社員の前で厳しく叱責する──。そんな様子を撮影したとみられる動画がSNS上で拡散され、波紋を広げている。一般論として、法的にどんな問題があるのか、弁護士に聞いた。
●インターン生を詰める様子が映っていた
拡散されている動画には、インターン生とされる男性に対して、社員が「普通にクビじゃね?」「クビって認識でいいの?」などと詰める様子が映っている。
どうやらインターンにノルマを課していたようだ。社員はさらに他のメンバーにも意見を求め、同調を促す場面も記録されている。
動画が拡散し始めると、「怒られている本人です」という人が、X上で以下のような書き込みをした。
「この怒られているきっかけは自分が作っているので、自分が100%悪いです」
「ここまで言ってくれる上司は今の時代珍しく、とても良い刺激になりました」
動画が撮影された経緯や、詳しい状況は不明だが、一般にインターンに対して、社員と同じようなノルマを課したり、未達成などを理由に「クビだ」と威圧的な言動をとることは法的に問題ないのだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。
●インターンの趣旨「仕事への理解を深めること」
──そもそもインターンは何のためにあるのでしょうか。
インターンシップとは、一般的に企業が学生などに提供する就業体験の機会を指します。
本来は、将来その企業や業界への就職を希望する学生が、実際の職場や業務を体験してみることで理解をより深めることを目的としています。
企業にとっても、意欲ある学生にそのような機会を提供することで、いわゆる社会的責務の一環としてキャリア支援に一役買う側面があります。
ただし、「正味のところ」として、学生側としては、就職活動で有利になる材料を得たい、企業側は優秀な人材を就活が本格化する前段階から発掘・囲い込みたいといった思惑が一致した仕組みともいえます。
日本では、文科省、厚労省、経産省が連携し、学生のインターンシップを含むキャリア形成支援を推進する政策を打ち出しています。
インターンシップが、本来の趣旨にしたがったものであるならば、ぜひとも推進されるべきであり、また、その内容が「正味のところ」だったとしても、それが実現できているならば、それはそれで現実的なメリットが双方に認められます。
しかし、世間には、いわゆる「ブラックインターン」と呼ばれるような問題も指摘されています。
名目上はインターンでありながら、不当に低い、あるいは無償で単純なテレアポや営業活動をさせるケースや、学生仲間の紹介を求めてマルチまがい商法の末端のコマとして利用するなどの実態が噂されることもあり、真偽は別として、懸念があるのも事実です。
さらに、政府も指導している通り、インターン生の活動内容が実質的に「労働」にあたる場合には、最低賃金法や労働基準法などの関係法令を遵守する必要があります。インターン制度を隠れみのにして、労働法規を無視した働かせ方が問題となる例も見受けられます。
ただし、企業の営業部署の業務を体験させること自体は、制度の趣旨に照らして、直ちに問題とはいえません。

