「中皮腫の余命」はどのくらいかご存じですか?治療法についても医師が解説!

「中皮腫の余命」はどのくらいかご存じですか?治療法についても医師が解説!

組織型別|中皮腫の余命

組織型別|中皮腫の余命

中皮腫は、組織の特徴によって上皮型、肉腫型、二相型の3つに分類されます。二相型は、上皮型と肉腫型の両方の特徴を併せ持つタイプです。上皮型は全体の6〜8割を占める最も多い型で、ほかの2つと比較して予後がよいとされます。一方、肉腫型は進行が早く、予後が不良です。

すべての組織型を含む患者さんの、さまざまなステージや治療法を統合したデータによると、生存期間の中央値は上皮型で約14ヶ月、二相型で約9ヶ月、肉腫型では約5ヶ月とされています。

治療法別|中皮腫の余命

治療法別|中皮腫の余命

治療法は、がんの進行度(ステージ)、組織型、患者さんの体力などを総合的に評価したうえで決定されます。治療には、外科治療(手術)、化学療法(抗がん剤治療や免疫療法)、放射線治療があり、いずれか一つを選択する場合もあれば、複数を組み合わせる場合もあります。

日本で行われた悪性胸膜中皮腫の患者さんを対象とした研究によると、手術を受けた患者さんの生存期間中央値は約33ヶ月、手術以外の治療を受けた患者さんでは約14ヶ月、そしていずれの治療も難しく緩和治療のみを受けた患者さんでは約4ヶ月と報告されています。
この結果から、手術を行うことができるステージにある患者さんの予後が良好であることがわかります。

以下では、主な治療法である外科治療と化学療法について詳しく解説します。
ただし、いずれの治療による効果も、進行度によって効果が異なることに注意が必要です。

外科治療(手術)

外科治療では、がんの広がりが胸膜内にとどまり、ほかの臓器への転移がない場合に手術が検討されます。ただし、手術を行うかどうかは、病変の位置や範囲、組織型、そして患者さんの体力や肺機能などを慎重に評価したうえで判断されます。治療効果を高めるため、手術だけではなく、化学療法や放射線治療を組み合わせる集学的治療が行われることもあります。

化学療法

手術が難しいと判断された場合には、化学療法が治療の中心となります。また、先に化学療法を行い、がんの進行を抑えてから外科治療を行う術前化学療法が選ばれる場合もあります。

現在、悪性胸膜中皮腫に対して広く使われている標準的な化学療法の一つは、シスプラチンとペメトレキセドという2種類の抗がん剤を併用する治療法です。この治療は、がんの進行を遅らせ、症状を和らげる効果が期待されており、生存期間中央値は約12ヶ月と報告されています。

さらに、近年では免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる新しい薬剤が中皮腫の治療に用いられるようになりました。ニボルマブとイピリムマブという2種類の免疫療法薬を併用する治療法が、手術が適応とならない患者さんに対する新たな標準治療として認められています。このニボルマブ・イピリムマブ併用療法は、シスプラチン・ペメトレキセド併用療法と比べて、生存期間がより長いことが報告されており、この2つを比較した研究では、生存期間中央値がそれぞれが約18ヶ月と約14ヶ月であったという結果が示されています。

配信元: Medical DOC

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