中皮腫で根治が期待できる状態と治療法

中皮腫は、発見された時点で広範囲に進行していることが多く、根治することが難しいがんとされています。中皮腫で根治が期待できるのは、がんが胸膜に限局しており、リンパ節やほかの臓器へ転移していない早期の段階に限られます。
根治を目指す治療の中心となるのは手術です。手術には大きく2つの方法があります。ひとつは胸膜肺全摘除術と呼ばれるもので、がんのある側の肺を丸ごと切除し、がんが広がっている胸膜や、必要に応じて横隔膜や心膜も一緒に取り除く大がかりな手術です。もうひとつは胸膜切除/肺剥皮術と呼ばれる方法で、肺を残しながらがんのある胸膜部分をはぎ取る手術です。
ただし、手術単独で中皮腫を完全に治すのは大変難しいとされています。そのため、根治をめざす場合には、手術に加えて抗がん剤による化学療法や放射線療法を組み合わせる集学的治療が行われます。例えば、手術の前に化学療法を行ってがんを小さくしたうえで切除を試みたり、手術後に再発を防ぐ目的で抗がん剤や放射線を追加する治療が行われます。ただし、そのような治療を行っても再発することがあり、治療後も定期的な診察や検査を受けることが大切です。
中皮腫についてよくある質問
ここまで中皮腫を紹介しました。ここでは「中皮腫」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
手術後も再発する可能性はありますか?
はい、手術を受けた場合でも、再発する可能性はあります。
悪性胸膜中皮腫は、胸膜の広い範囲に広がりやすい性質を持っており、たとえ手術でがんをすべて取り除いたように見えても、がん細胞が胸腔内に残っていることがあります。そのため、再発のリスクをできるだけ減らすために、手術に加えて抗がん剤や放射線治療を組み合わせる治療を行うことがあります。
手術後に再発した場合、治療法はありますか?
はい、再発した場合にも治療法があります。
再発が見つかった場合には、化学療法や免疫チェックポイント阻害薬など、いわゆる抗がん剤による治療法があります。また、痛みや呼吸困難などの症状があれば、それらを和らげる治療を行うこともできます。

