肥満症は「体重が多い」だけでなく、“糖尿病”や“高血圧”など生活習慣病のリスクを高める医学的な疾患です。BMIや内臓脂肪量、生活への影響を総合的に評価し、必要であれば医療による治療がおこなわれます。今回は、肥満症治療に詳しい88内科クリニックの加藤先生に、肥満症の基礎知識から医療機関での治療まで、詳しく伺いました。
※2025年12月取材。
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監修医師:
加藤 勇人(88内科クリニック)
岩手医科大学医学部卒業。八戸赤十字病院、東京女子医科大学 糖尿病センター、新宿メディカルクリニック院長を経て、2025年より「88内科クリニック」を開院、院長となる。生活習慣病、内分泌代謝疾患、肥満症治療を中心に幅広い診療をおこなっている。
肥満症とはどんな病気?
編集部
はじめに、肥満症とはどのような病気か教えてください。
加藤先生
肥満症は、脂肪が過剰に蓄積し、健康への悪影響がすでに出ている状態を指します。単なる「太っている状態」とは異なり、糖尿病や高血圧、脂質異常症などのリスクが高まる点が特徴です。肥満症は“生活の乱れ”だけが原因ではありません。体質、ホルモン、年齢、睡眠、ストレスなど、複数の要因が重なって起こる医学的な疾患です。
編集部
肥満症と診断される基準はあるのでしょうか?
加藤先生
一般的にはBMIが25以上で肥満症と診断されます。BMIは体重を身長の2乗で割って算出し、数値が高いほど脂肪が蓄積していると考えられます。ただし、同じBMIでも脂肪のつき方(特に内臓脂肪)、生活習慣病の有無によって、健康リスクは大きく異なります。標準体重から少し外れただけで、過度に心配する必要はありません。体全体の状態を見て判断することが大切です。
編集部
肥満症になりやすい要因にはどのようなものがありますか?
加藤先生
食べ過ぎや運動不足など生活習慣の影響が大きいですが、年齢、遺伝、ホルモンの異常、睡眠不足、ストレスなども関わってきます。特に、内臓脂肪型の肥満はリスクが高く、痩せ型に見えても内臓脂肪が多い方もいらっしゃいます。生活環境と体質が重なることで発症しやすくなります。
見た目だけじゃない! 肥満症が体に与える影響とは
編集部
肥満症に気づくためのサインはありますか?
加藤先生
単なる体重増加だけでなく、疲れやすさや息切れ、睡眠の質の低下、健康診断の結果悪化などは、肥満症の重要なサインかもしれません。心当たりがある方は、放置せず早めに医師へ相談することをおすすめします。
編集部
肥満症になると、どのような健康リスクが高まるのでしょうか?
加藤先生
代表的なのは糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病です。内臓脂肪が増えることで炎症物質が分泌され、血管や臓器に負担がかかります。また、肥満症は睡眠時無呼吸症候群や脂肪肝、関節の負担増加など、多くの全身症状につながります。これらを放置すると、将来的に心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる重大な病気を引き起こすリスクも高まります。
編集部
自己流のダイエットでは改善が難しいのでしょうか?
加藤先生
短期間で体重を落とすダイエットは、「筋肉量が減る→基礎代謝が下がる→リバウンドしやすくなる」という悪循環に陥りがちです。肥満症は“根性論”では改善しません。医学的に評価し、安全性を確保したうえで進めることが重要です。

