健康診断の「血圧」の異常で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「血圧」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
脳卒中
脳出血や脳梗塞を含む脳卒中は、高血圧が最大の危険因子です。血管が破れる、または詰まることで発症し、片麻痺・言語障害・視覚障害などが急に出現します。発症から時間が勝負となるため、突然の神経症状があれば直ちに救急要請をしましょう。再発予防には降圧薬の継続内服、減塩・禁煙・運動などの生活改善が欠かせません。
心筋梗塞
冠動脈が動脈硬化で閉塞すると、心筋に酸素が届かず壊死に至ります。前胸部の締めつけ感や放散痛、冷汗・呼吸困難が15分以上続く場合は緊急事態です。発症後はカテーテル治療や冠動脈バイパス術が行われ、再発予防として降圧治療・脂質管理・糖尿病コントロールが重要です。循環器内科での長期管理が必要です。
慢性腎臓病
腎臓は血圧調整にも関わる臓器であり、高血圧は腎機能を悪化させる大きな因子です。蛋白尿やむくみで発見されることもあり、進行すると透析に至る場合もあります。治療は血圧の厳格管理(130/80mmHg未満が目標とされることが多い)と減塩などが主となります。ACE阻害薬やARBは腎保護効果を持つため、第一選択として使用されます。腎臓内科での定期的評価が望まれます。
高血圧
診察室血圧140/90mmHg以上(家庭血圧135/85mmHg以上)で診断されます。多くは症状が乏しく「サイレントキラー」と呼ばれますが、脳・心・腎への合併症リスクを確実に高めます。一次予防のためには生活習慣改善(減塩・運動・節酒・禁煙)が基本で、必要に応じて降圧薬を追加します。内科や循環器内科での長期的な管理が推奨されます。
低血圧
収縮期血圧が90/60mmHg未満を指すことが多く、立ちくらみや全身倦怠感、失神を伴う場合は注意が必要です。多くは体質性で問題ありませんが、重度の脱水・内分泌疾患・心不全などが背景にあることもあります。水分・塩分摂取や弾性ストッキングが有効な場合があり、症状が持続する場合は内科で精査が必要です。
「血圧」の数値を指摘された時の正しい対処法・改善法は?
健康診断で血圧の異常を指摘された場合、まずは家庭血圧を1週間以上測定し、朝晩の平均値を確認しましょう。その上で医師に提示すると診断が正確になります。改善策の基本は、減塩(1日6g未満)、体重管理(BMI 25未満)、有酸素運動(週150分程度)、十分な睡眠、ストレスコントロールです。薬物療法は医師の判断に従いましょう。
血圧が平均より高い場合の対処法・改善策
130/80mmHgを超える場合は、動脈硬化の進行リスクが高まるとされます。食事では減塩や野菜・果物の摂取を意識し、アルコールを控えましょう。3か月以上の生活改善で効果が不十分な場合、降圧薬の導入を検討します。
血圧が平均より低い場合の対処法・改善策
症状がなければ大きな問題ではありませんが、めまい・失神がある場合は注意が必要です。水分・塩分補給、起立時にゆっくり立ち上がる工夫が有効です。薬の副作用が疑われる場合は主治医に相談してください。
「平均血圧」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「平均血圧」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
健康診断における血圧測定の平均値はいくつでしょうか?
木村 香菜 医師
令和5年の国民健康・栄養調査報告によると、血圧の平均値は全体で128.6/75.1mmHgでした。年齢によって徐々に上昇する傾向があります。
血圧の正常値は年代や性別によって変わりますか?
木村 香菜 医師
成人の場合、血圧の正常値は年代や性別によって変わることはありません。
まとめ 健康診断の「平均血圧」は健康状態を反映する大切な指標!
健康診断で測定される血圧は、診察室140/90mmHg以上、家庭135/85mmHg以上で高血圧と診断され、基準は年齢によって変わりません。一方で統計的な平均値は年代や性別で異なり、加齢とともに収縮期血圧が上昇する傾向がみられます。
高血圧は脳卒中・心筋梗塞・腎臓病など重大な病気のリスク因子であり、低血圧も失神などの症状を伴えば注意が必要です。異常を指摘された場合は、家庭血圧を測定して記録を残し、生活習慣の見直しを行いながら、必要に応じて医師に相談してください。
血圧の異常は「サイレントキラー」とも呼ばれる重要なサインです。早めの対処と継続的な管理が健康寿命を延ばす大きな鍵となります。
「血圧」の異常で考えられる病気
「血圧」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
本態性高血圧心筋梗塞腎臓内科系の病気
腎性高血圧
慢性腎臓病内分泌内科系の病気
原発性アルドステロン症
脳神経内科系の病気
脳卒中高血圧の原因として考えられる病気や、高血圧がリスクとなる病気にはさまざまなものがあります。
「血圧」の異常と関連する症状・関連する症状
「血圧」の異常と関連している、似ている症状は5個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
頭痛
動悸
ふらつき
手足の麻痺
失神
血圧の異常がある際、これらのような症状が現れることがあります。しかし、高血圧でも症状がないこともありますので、健康診断などで血圧の異常を指摘された場合は放置しないようにしましょう。
参考文献
令和5年国民健康・栄養調査報告|厚生労働省
第2部 身体状況調査の結果p118
血圧 | 日本人間ドック・予防医療学会

