香りというのは、どうも記憶に残りやすいもの。元彼が愛用していた香水の香り、青春時代をともにした自分自身の香り……だからこそではありますが、ある特定の香水が時として「古臭い」「時代遅れ」といった、悲しいレッテルを貼られてしまうことがあるのかもしれません。
そこで今回は、こうした香水をめぐる炎上をきっかけに、フレグランスの流行り廃りと、私たちがそれとどう向き合えばいいのかについて考えていきます。
昔たくさん嗅いだ香りほど、古くなりやすい?
筆者はXをふだんあまり見ないので、炎上からだいぶ日が経って冒頭の投稿のことを知ったのですが、肝がヒヤッとしました。なぜならその投稿で挙げられていたクロエの「オードパルファム」は、かつて筆者も愛用していた香水だったからです。初めて一目惚れした香りだったのもあり、ショックでしたね……。香水をつけて幸せに浸れたあの思い出が汚されてしまった気分。そして、大流行からかなりの年月が経っていたんだという現実。その結果、今では「オバさん香水」として扱われてしまっている悲しさ。
もちろん、昔流行った香水のかおりを嗅ぐと、「えっ、懐かしい!」と、反射的に思ってしまう気持ちも痛いほど分かります。筆者はそれこそ母が愛用していたニナリッチの「レベル ドゥ リッチ」(現在は廃盤)の香りを嗅ぐと、幼い頃に感じた母の温もりとして記憶が呼び起こされるので「良い香り」よりも「懐かしい香り」になってしまいます。
それでもタイムレスに残り続ける香水って?
確かに香りには流行というのがあります。80年代は強めの香りが流行、90年代はクリアな香り、2000年代はフローラルな香りと、オリエンタルなムスク系へ流行りが変化していきました。昨今では香りの多様性がいっそう広がっていて特定の香りを嗅いでも、「その時代」を象徴しづらくなっていてちょっと安心です。その点、とくに1990〜2000年代は特定の香水ブランドの流行が目覚ましく、多くの人の記憶に残っています。決して、その香りが古臭いわけではなく、私たちの懐かしい記憶により「古い」と揶揄されてしまうのでしょう。爆発的に売れた経験のある香水はファッションの流行と同じで、時代が過ぎ去るとそういうレッテルを貼られてしまうのは、ある意味仕方のないことかもしれません。
一方で、タイムレスに愛され続けている香水も存在しています。例えば、シャネルの「N°5」、ゲランの「シャリマー」など。デビューから100年以上経つ名香と言われるものは、時代がいくら変わろうとも鮮度が落ちることはありません。それは作り手であるブランドが時代とともに調合をアップデートさせ続けているためです。下手に大流行しすぎていないというのも香りが存在し続けるのに必要不可欠な要素なのかもしれませんね。

