「宣伝してあげるから」浅草のタイ料理店でYouTuberが無銭飲食トラブルか…どんな犯罪になる?

「宣伝してあげるから」浅草のタイ料理店でYouTuberが無銭飲食トラブルか…どんな犯罪になる?

とある飲食店主がXに投稿した「YouTuberによる無銭飲食トラブル」が波紋を広げている。

東京浅草に店を構えるタイ料理屋のアカウントによると、店を訪れたYouTuberが撮影目的で来店し、「宣伝してあげるから」と言って、飲食代金を支払わないまま立ち去ったという。

店側の説明では、このYouTuberに対して撮影や宣伝を依頼した事実はなく、「依頼するほど困ってもいません」と困惑している様子を見せている。

さらに投稿では「これは当たり前のことなんですか?」「YouTuber界隈の方やご存知の方がいればご教示くださいませ」と呼びかけている。

2月6日夜に書き込まれたこの投稿は、2月9日の時点で約1.4万回リポストされ、表示回数は2250万回を超え、「無銭飲食やん」「これ動画上がってなければ詐欺ですよね」などの反応が寄せられている。

どのYouTuberを指すのかは明らかになっていないが、店側の承諾を得ないまま「宣伝」を名目に飲食代金を踏み倒す行為は、どのような犯罪にあたる可能性があるのか。

また、インフルエンサーが店側に一方的にサービス提供を求めた場合、法的責任は生じるのか。西口竜司弁護士に聞いた。

●「詐欺罪」に問われる可能性

──店側が承諾していないにもかかわらず、「宣伝」を名目にして飲食代金を踏み倒す行為は、どのような罪に問われる可能性がありますか。

いかにも現代的なトラブルだと感じます。

たしかにインフルエンサーが店を取り上げれば、集客につながるかもしれませんが、それはあくまで双方の合意に基づくものであり、一方的に決められるものではありません。

今回のように、店側の承諾がないまま「宣伝してあげるから」と言って代金を支払わない行為は、法的に正当化されるものではなく、詐欺罪(刑法246条)に問われる可能性が高いです。

通常、飲食店での食事は「注文した料理の提供と引き換えに代金を支払う」という契約関係に基づきます。

最初から支払う意思がないのに注文した場合はもちろん、食後に一方的に「宣伝」を理由に支払いを免れようとする行為も、店側を欺いて財産的利益を得たとして、詐欺罪が成立し得ます。

無銭飲食等の事例では、注文時点で詐欺の実行に着手したと判断されることもあります。注文行為は、代金支払いを前提としているためです。

●脅せば「恐喝罪」、民事上の責任も…

──インフルエンサーが店側に一方的にサービス提供を要求する行為はどうでしょうか。

これについても、場合によっては法的責任が生じます。

たとえば「無料にしなければSNSに悪評を書く」などと告げれば恐喝罪(刑法249条2項)に、店内で過度な要求を繰り返して居座る行為は威力業務妨害罪(刑法234条)に該当するおそれがあります。

当然ながら、民事上も飲食代金の支払義務を免れません。

「拡散力」は有効な宣伝手段かもしれませんが、事前の合意がない限り、通貨の代わりにはなりません。店側の厚意や契約を無視した一方的な振る舞いは、SNS時代特有のトラブルとして注意が必要でしょう。

【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。Xリーグ選手でもある。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/

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