ハンバーガーには、動物性脂肪を中心とした脂質が豊富に含まれています。一般的なハンバーガー1個で15g〜35g、高カロリーなものでは40g以上の脂質を摂取することもあります。特に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は、血中のLDLコレステロールを増加させ、動脈硬化のリスクを高める可能性があります。動脈硬化は自覚症状がないまま進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患につながることもあるため注意が必要です。脂質の総量だけでなく、その質にも目を向け、不飽和脂肪酸を含む食品をバランスよく取り入れることが大切です。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
ハンバーガーに含まれる脂質の種類と健康への影響
ハンバーガーの栄養面でカロリー以上に注意すべきなのが、脂質の含有量とその「質」です。脂質の種類や摂取量によっては、血中脂質プロファイルに悪影響を及ぼし、長期的に健康を損なう可能性があります。
脂質の種類と健康への影響
脂質には、大きく分けて飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、そしてトランス脂肪酸などの種類があり、それぞれ身体への影響が大きく異なります。ハンバーガーのパティ(特に牛肉)やチーズに含まれる動物性脂肪は、主に飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸はエネルギー源として重要ですが、過剰に摂取すると血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)を増加させ、血管壁にプラークを形成し、動脈硬化のリスクを高めることが科学的に報告されています。
また、揚げ物であるフライドポテトや、一部のバンズや菓子類の製造過程で使用されるショートニングやマーガリンには、トランス脂肪酸が含まれる場合があります。トランス脂肪酸は、国際的に使用制限や表示義務化が進んでいます。日本では欧米ほどの厳しい法的規制はありませんが、多くの企業が自主的に低減に取り組んでいます。
一方、青魚やナッツ、アボカド、オリーブオイルなどに含まれる不飽和脂肪酸(オメガ3系やオメガ9系など)は、適量であれば血中脂質を改善し、心血管系を保護する働きがあるとされています。しかし、一般的なハンバーガーにはこれらの健康的な脂質はほとんど含まれておらず、脂質の質という観点では改善の余地があると言えます。
ハンバーガー1個あたりの脂質量
一般的なハンバーガー1個に含まれる脂質量は、15g〜35g程度です。しかし、チーズバーガーやベーコンエッグバーガー、ダブルパティのバーガーになると、40g〜60g、あるいはそれ以上に達することもあります。
成人の1日の脂質摂取目標量は、総摂取エネルギーの20%〜30%とされており、1日2,000kcalを基準とすると約44g〜67g程度です。つまり、高脂質なハンバーガーを1個食べるだけで、1日の脂質摂取目標量の大半、場合によっては上限を超えてしまう可能性があるのです。
さらにセットメニューのフライドポテト(Mサイズ)を加えると、脂質量はさらに15g〜25g増加します。このように、ハンバーガーとポテトの組み合わせは、脂質の過剰摂取につながりやすい食事パターンといえます。
脂質とコレステロールの関係
ハンバーガーに豊富に含まれる特定の種類の脂質は、血中のコレステロール値に直接的な影響を与え、長期的には動脈硬化を進行させ、心血管疾患のリスクを高める可能性があります。
LDL(悪玉)コレステロールの上昇メカニズム
食事から摂取した飽和脂肪酸は、主に肝臓でのコレステロール合成を促進し、血中に放出されるLDLコレステロールの量を増加させることが数多くの研究で示されています。LDLコレステロールは、血管の内壁に入り込み、酸化されることでプラーク(粥状の塊)を形成し、動脈硬化を進行させる要因となります。
動脈硬化は『沈黙の病』とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行します。血管が著しく狭窄したり詰まったりして初めて、心筋梗塞や脳梗塞といった致命的な発作として現れるため、早期からの予防が極めて重要です。ハンバーガーを頻繁に食べる習慣がある方は、自覚症状がなくても動脈硬化が進行している可能性があるため、定期的な血液検査でコレステロール値(特にLDLコレステロール)をチェックすることが推奨されます。
特に、すでに脂質異常症(高コレステロール血症)と診断されている方や、家族に心血管疾患の既往歴がある方は、飽和脂肪酸の摂取量に注意を払う必要があります。医療機関では、個々のリスクに応じてコレステロール値の管理目標を設定し、食事療法や運動療法、必要に応じてスタチンなどの薬物療法を組み合わせた包括的な治療が行われます。
トランス脂肪酸の二重のリスク
天然にはほとんど存在しないトランス脂肪酸は、LDLコレステロールを上昇させるだけでなく、HDL(善玉)コレステロールを低下させる作用があり、心血管系にとって二重の脅威となります。世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1パーセント未満に抑えるよう強く勧告しており、多くの国で食品への含有量表示の義務化や使用規制が進んでいます。
日本では、欧米諸国と比較してトランス脂肪酸の平均摂取量は低いとされていますが、ファストフードや市販の揚げ物、洋菓子、パン類を頻繁に食べる方は、摂取量が増える傾向にあります。近年、大手ファストフードチェーンではトランス脂肪酸の低減に自主的に取り組んでいますが、完全にゼロではないため、摂取頻度には引き続き注意が必要です。
トランス脂肪酸を避けるためには、揚げ物の頻度を減らす、加工食品を購入する際に原材料表示を確認し、ショートニング・マーガリン・植物油脂などの表示に注意する、自宅で調理する際はオリーブオイルやキャノーラ油などの良質な植物油を選ぶといった工夫が有効です。

