カリウムを過剰に摂取した場合、身体にさまざまな悪影響が生じる可能性があります。通常の食事からカリウムを摂りすぎることはまれですが、サプリメントの多用や腎機能の低下がある場合には注意が必要です。本章では、カリウム過剰摂取によって引き起こされる健康被害と、とくに気をつけるべき状況について詳しく解説します。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
カリウム過剰摂取による健康被害と注意点
カリウムは通常の食事から過剰に摂取することはまれですが、サプリメントの多用や腎機能の低下がある場合には、高カリウム血症を引き起こすリスクがあります。血液中のカリウム濃度が過度に上昇すると、心臓や神経系に深刻な影響を及ぼすため、適切な管理が求められます。
高カリウム血症による心臓への影響
血液検査の項目では『K』と表記されます。正常値は約3.5〜5.0ですが、6.0を超えると不整脈の危険が高まり、非常に危険な状態(パニック値)と判断されます。さらに濃度が上昇すると、心室細動や心停止といった重篤な事態に至る可能性もあり、緊急の治療を要します。
高カリウム血症の初期症状としては、手足のしびれや脱力感、吐き気などが挙げられます。これらの症状は非特異的であり、ほかの疾患と区別が難しいため、腎機能障害やカリウム製剤の服用歴がある方は、定期的な血液検査でカリウム値を確認することが重要です。とくに腎不全の患者さんや、尿を出して血圧を下げる薬(利尿薬)のうち、カリウムを体に溜め込みやすいタイプのものを使用している方は、医師の指導のもとで食事内容を調整し、過剰摂取を防ぐ必要があります。
腎機能低下時のリスクと管理方法
健康な腎臓は余分なカリウムを尿中に排泄する機能を持っていますが、腎機能が低下するとこの調整能力が損なわれ、体内にカリウムが蓄積しやすくなります。慢性腎臓病(CKD)のステージが進行するほど、食事からのカリウム摂取量を厳密に管理する必要性が高まります。透析治療を受けている方は、とくに血液透析の間隔が空く週末から週明けにかけてカリウム値が上昇しやすいため、注意が必要です。
腎機能が低下している場合は、カリウムを多く含む食材(バナナ、アボカド、ほうれん草など)の摂取量を制限し、調理方法を工夫することが推奨されます。野菜は茹でこぼすことでカリウムの一部を除去できるほか、缶詰や加工食品に含まれるカリウム量にも注意を払う必要があります。定期的に腎臓内科を受診し、血液検査の結果をもとに栄養指導を受けることで、安全性を重視した食事管理を続けることができます。
まとめ
カリウムは体液バランスの維持や神経・筋肉の正常な働きに欠かせないミネラルであり、日常の食事から自然に摂取することができます。不足すると筋力低下や不整脈などの症状が現れ、過剰摂取は高カリウム血症のリスクを高めるため、適切な量を意識することが重要です。マグネシウムやビタミンB6との組み合わせで効果を高める一方、カリウム保持性利尿薬や塩分代替品との併用には注意が必要です。野菜、果物、魚介類、海藻類など、カリウムを豊富に含む食材を日々の献立に取り入れ、バランスの取れた食生活を実践していきましょう。症状や健康状態に不安がある場合は、内科や腎臓内科を受診し、専門的なアドバイスを受けることが推奨されます。
参考文献
厚生労働省・日本人の食事摂取基準(2025年版)
成人 CKD 患者への栄養管理
文部科学省・日本食品標準成分表2020年版(八訂)
日本高血圧学会・高血圧治療ガイドライン2019
国立循環器病研究センター・循環器病情報サービス

