ヒートショックは誰にでも起こり得る現象ですが、特定の条件を持つ方ではリスクが顕著に高まります。加齢による血管の変化や、高血圧・糖尿病といった基礎疾患の存在は、重要な危険因子です。ご自身やご家族がこれらに該当するかを確認し、より慎重な対策を講じる必要があります。

監修医師:
滝村 英幸(医師)
2006年4月聖マリアンナ医科大学病院初期臨床研修医
2008年4月 済生会横浜市東部病院循環器内科
2016年12月 総合東京病院(東京都中野区)循環器内科
2017年総合東京病院(東京都中野区)心臓血管センター
2022年4月総合東京病院(東京都中野区)心臓血管センター循環器内科心臓血管インターベンション科科長
【専門・資格・所属】
内科・循環器内科一般
冠動脈カテーテルインターベンション治療
末梢血管カテーテル治療
フットケア
心血管超音波検査
日本内科学会認定内科医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定心血管カテーテル治療専門医
日本心エコー図学会SHD心エコー図認定医
ヒートショックの主な危険因子
ヒートショックは誰にでも起こり得る現象ですが、特定の条件や背景を持つ方ではリスクが大きく高まります。自分自身や家族が該当するかどうかを確認し、必要な注意を払うことが重要です。
加齢に伴う血管の変化
加齢はヒートショックの重要な危険因子の一つです。血管は年齢とともに硬くなり、柔軟性を失っていきます。これは動脈硬化と呼ばれる変化で、血管壁にコレステロールやカルシウムが沈着し、血管が厚く硬くなる現象です。硬くなった血管は急激な血圧変動に対応しにくく、高い圧力がかかったときに破れやすくなります。
特に65歳以上の高齢者では、これらの変化が複合的に作用し、ヒートショックのリスクが顕著に高まることが報告されています。家族に高齢者がいる場合は、入浴時などの温度変化の大きい場面で特に注意を払う必要があります。
高血圧や糖尿病などの基礎疾患
高血圧、糖尿病、脂質異常症、心疾患などの循環器系や代謝系の疾患は、ヒートショックによる重篤な合併症を引き起こしやすい要因です。
高血圧の方は、日常的に血管に高い圧力がかかっているため、血管壁が傷んでいることが多く、急激な血圧上昇によって血管が破れるリスクが高まります。また、降圧薬を服用している場合、温度変化によって血圧が急降下しやすくなることもあります。
糖尿病は、高血糖が続くことで血管や神経にダメージを与えます。特に自律神経障害が起こると、血圧調節機能が低下し、温度変化に対する身体の対応がうまくいかなくなります。また、糖尿病による動脈硬化の進行も、ヒートショックのリスクを高めます。
脂質異常症は動脈硬化を促進し、血管の柔軟性を失わせるため、急激な血圧変動に対して脆弱になります。心疾患を持つ方では、心臓への負担が増すことで、不整脈や心不全を引き起こす可能性が高まります。
まとめ
ヒートショックは、正しい知識と日常的な対策によって予防できる健康リスクです。めまいや立ちくらみ、動悸などの初期症状を見逃さず、急激な温度変化による血圧変動の仕組みを理解することが重要となります。特に高齢者や基礎疾患のある方はリスクが高いため、室温管理や入浴方法の工夫、トイレや廊下、早朝・夜間など注意が必要な場面を把握しておくことが欠かせません。あわせて、家族による見守りや緊急時の対応を共有しておくことで、万が一の事態にも備えやすくなります。
住環境の改善や生活習慣の見直しを含め、できる対策から無理なく実践していきましょう。少しでも不安や症状がある場合は、早めに医療機関へ相談することが、冬を安全に過ごすための大切な一歩となります。
参考文献
政府広報オンライン「交通事故死の約3倍?!冬の入浴中の事故に要注意!」
厚生労働省「入浴関連事故の実態把握及び防策に関する研究について」
消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」

