ママ友・綾を避けていたものの、結局、根負けして、お茶をすることになった、るい。たのしいひとときを過ごしたあと、綾はとんでもないことを言い出して…。
最悪…避けていたママ友とはち合わせ!
私は、綾さんからの誘いを、極力、避けるようになりました。
スマホに届く、「明日、空いてる?」というメッセージを見るたびに動悸がし、適当な理由をつけては、ことわる日々…。しかし、同じ幼稚園に通う以上、完全に縁を切ることは不可能です。
ある日、幼稚園のお迎え前…パン屋さんの前で、綾さんとハチ合わせました。
「るいさん!最近、全然、会えなくて寂しかったよ〜。ねえ、お迎えまであと1時間あるし、そこのカフェで少しだけ話さない?」
彼女の屈託のない笑顔を前に、私は逃げ道をうしないました。
「急いでるから」と、ことわることもできましたが、彼女が指差した目の前のカフェには、他のママ友たちの姿が見えました。
(れいちゃんママも、和くんママもいる…)
ここで不自然にことわって、変なうわさを立てられるのもこわい…。私は結局、おもい足取りで、彼女に従いました。
「サイフを忘れた」と言うママ友
カフェの店内は、コーヒーの香りとおだやかなBGMに包まれていました。
あやさんは、新作のキャラメルマキアートを注文し、私は一番安い、ブレンドコーヒーをたのみました。
「ねえ、聞いてよー。この前の参観日の時さ……」
彼女の話はたのしく、つい先ほどまでの憂鬱(ゆううつ)を忘れさせてくれるような魅力がありました。
人当たりが良く、話題も豊富…。
(お金の問題さえなければ、いい友人なのに)
私は心のどこかで、彼女を「ゆるしたい」という気持ちを捨てきれずにいました。
しかし、現実は非情でした。お会計の時間になり、レジの前に立つと、綾さんは突然、自分のバッグをはげしく探り始めました。
「やだ……うそ。どうしよう、るいさん。おサイフ、忘れちゃったみたい」
その言葉を聞いた瞬間、私の脳内で、何かが冷えていくのが分かりました。あまりにも古典的で、あまりにも身勝手なセリフ。
「るいさん、ごめん!私の分も立て替えておいてもらえるかな?」

