危険な裏表人間を見抜き、距離を取る技術―職場で消耗しないための《心の防衛法》|榎本博明

危険な裏表人間を見抜き、距離を取る技術―職場で消耗しないための《心の防衛法》|榎本博明

職場の人間関係で、なぜか自分だけが消耗してしまう――その原因の多くは「裏表がありすぎる人」にあります。なぜ裏表のある人は、上司に本質を見抜かれにくく、評価されやすいのか。

彼らの心理メカニズムと行動原理、そして心をすり減らさずに対処するための具体策を示した、『裏表がありすぎる人』。本書から、一部をご紹介します。

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相手の二面性の特徴を見極める

裏表の激しい人物による思いがけない被害に遭うのを避けるには、かかわりのある周囲の人たちの言動を日頃からじっくり観察し、見極めることが大切である。

ある一面だけを見ていてもよくわからない。自分の前では感じがよくても、陰で悪く言われたり、軽んじるような扱いを受けていたりすることもあり得る。それこそが裏表人間の特徴なのである。

自分と二人だけのとき、同僚みんなと一緒のとき、先輩の前、後輩の前、上司の前、取引先の前など、場面により態度が変わるからといって問題だというわけではない。それは当然のことだし、むしろ場面によって態度を調整できない方がおかしいことはすでに解説してきた通りだ。

だが、そのギャップが不自然だったり、激しすぎると感じたり、場面間で矛盾する発言が目立つと感じたりするようなら、その人物は信用できない裏表人間の可能性が高いため要注意だ。

前章で危険な裏表人間のチェックポイントをあげたが、それらを念頭に置いて、じっくり観察するようにしたい。その際、冷静さを失わないことが大切だ。もち上げられれば、だれだって嬉しい。あからさまなお世辞でも、つい気持ちが舞い上がってしまう。でも、そんな心の状態では、相手を見抜くことはできない。それこそ危険な裏表人間の思うつぼだ。

気持ちが舞い上がりそうなときこそ、冷静さを失わないように自分に言い聞かせる必要がある。気持ちが舞い上がっていると、相手の言動のわざとらしさを見逃してしまう。

危険な裏表人間による被害を防ぐには、気分で動かず、頭で動く、つまり感情反応より認知反応を心がけることが大切となる。

難しいのは、だれが危険な裏表人間なのかがはじめからわかっているわけではないため、警戒すべき人物がわからないことである。

常に警戒していたら、だれとも親しくなれないではないか、そんなのは淋しい、と思うかもしれない。でも、せめて最初のうちはじっくり観察すべきだろう。いきなり気を許すのは無防備すぎる。

人間観察を楽しむつもりで、まずは冷静に、少し距離を置いて観察することが大切だ。

そして、チェックポイントを踏まえて観察しても、とくにおかしくなければ、徐々に心理的距離を縮めていけばいい。だが、少しでも疑念が生じたら、巻き込まれないように、表面的なかかわりに徹するようにしたい。

けっして深入りしない

第4章では、危険な裏表人間を見分けるためのチェックポイントをさまざまな角度からみてきたが、それらを踏まえて、この人は危険かもしれないと思うことがあれば、心理的距離をしっかり保ち、けっして深入りしないように心がける必要がある。

心理的距離を保つというのは、かかわりをもたないということではない。

その危険かもしれないと思われる人物が、職場の人であれば、まったくかかわらないというわけにはいかない。同じ部署であれば、しょっちゅう目の前にいるわけだから無視するわけにはいかないし、他部署であっても職務上のやりとりがあればコミュニケーションを取る必要がある。

それは危険な裏表人間に限らない。性格や価値観が合わなくても、嫌なヤツだと思っても、同じ職場にいる以上、かかわりをもたないわけにはいかない。だからといって、みんなと友だち感覚で仲良くつき合う必要はない。とくに気の合う相手以外は、ただの同僚であって友だちではないのだから。

職場は仕事集団であり、仲良し集団ではない。職務上必要なやりとりはしても、気を許して親しくする必要はない。

学校時代を思い返せば、同じクラスの仲間といっても、全員と仲良くつき合っていたわけではないだろう。深いつき合いの相手もいれば、表面的にかかわるだけの相手もいたはずだ。

それと同じで、職場で日常的にコミュニケーションを取る相手でも、職務上必要なやりとりや場の雰囲気を良好に保つための最低限のコミュニケーションで十分であり、お互いの心の内面を共有する必要はない。

ゆえに、「この人は、ちょっと危険かも」と感じたら、表面的なかかわりに徹し、たとえ相手が内面を吐露してきても、適当にかわしながらつき合えばよい。仕事仲間としての最低限のかかわりは必要だが、それ以上に心理的距離を縮める必要はない。ましてや個人的に親しくつき合う必要などまったくない。

危険な裏表人間のチェックポイントを踏まえて、少しでも危ないかもしれないと感じることがあれば、けっして深入りしないことだ。

配信元: 幻冬舎plus

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