危険な裏表人間を見抜き、距離を取る技術―職場で消耗しないための《心の防衛法》|榎本博明

危険な裏表人間を見抜き、距離を取る技術―職場で消耗しないための《心の防衛法》|榎本博明

雑談時にも安易に同調しない

危険な裏表人間は、とくに利害に目ざとく、「自分が損をする」「まずいことになる」と思えば、自己防衛のために他人を犠牲にするような行動を平気で取るので、十分に注意してかかわる必要がある。

自分の言ったことでまずいことになったと思えば、自分でなく他の人が言ったことにして身を守るための工作をする。「まずい」という局面でなくても、万が一のリスク回避のために工作をすることもある。

たとえば、自分が思っていることや言いたいことでも、

「ちょっと耳にしたんですけど……」

と言ったりする。それだけですむこともあるが、だれがそんなことを言ったのかと迫られると、

「○○さんが言ってました」

というように、まったく関係ない人の名前を出したりする。名前を出された側は、まったくいい迷惑である。そんなことは言っていないのに、言ったことにされてしまうのだから。

そのような被害に遭うのを防ぐには、そういう人物の言葉に安易に同調しないことが大切である。

うっかり頷いたりすると、向こうが言ったことなのに、こちらが言ったことにされてしまう。ゆえに、けっして頷かないように注意したい。

ただ黙って聞いているだけでも、こちらが言ったと言われかねない。ゆえに、納得できないこと、それは言いすぎだろうと思うことがあれば、

「私はそんなふうに思わないけど」

「それは勘ぐりすぎなんじゃないかな」

などと、同調しない態度をはっきり示すべきだろう。

それがしにくいなら、とにかく意見や感情を伴わない仕事がらみの話や表面的な会話以外はかわさないように、かかわりを制限することを徹底すべきだろう。

感情的に巻き込まれない

裏表の使い分けがうまい人は、人の感情を揺さぶるのもうまい。

ほめられたり頼られたりするのは、だれでも嬉しいものだが、それが人を攻略する戦略だったりする。こうすれば相手は自分に好意的になるというように、操作的な戦略でほめたり頼ったりしてくるのである。

ゆえに、このタイプとかかわる際には、感情をくすぐられても操作されないように、常に平静を保つように意識する必要がある。

また、こちらのためを思っての言動をしてくれると、とてもありがたいし、感謝の気持ちと同時に好意的な感情も湧いてくるものである。

たとえば、何かを手伝ってくれるなど、こちらが助かるようなことをしてくれればありがたいし、こちらが困っているときに励ますようなことを言ってくれると心強いものだが、それも戦略だったりするので、うっかり気を許して心理的距離を縮めたりしないように注意したい。

また、心理的距離を縮めるために、上司や取引先あるいは同僚から酷い目に遭わされていると嘆いたり、親や配偶者の酷い態度を嘆いたりと、同情を誘うような嘆きを聞かされたりすると、だれでも同情心が湧いてきて、つい好意的な感情をもってしまいがちである。

だが、それも戦略だったりする。事実とは限らない。このタイプは、いちいち相手が真偽を確かめるようなことはできないと計算ずくなのだ。

ゆえに、そのような嘆きを聞いて同情したり、一緒に腹を立てたりしていると、いつの間にかその人物に巻き込まれ、感情を支配されることにもなりかねない。

このように、人の気持ちを戦略的に操作しようという人は、人の気持ちを揺さぶるのがとてもうまく、うっかりすると巻き込まれ、相手の思うように操作されてしまうので、注意が必要である。

自分はそんなふうに身の上話を偽ったりしないから、あれが噓だとは思えないという人もいるだろうが、危険な裏表人間にとっては、事実無根の作り話で同情を誘ったり、怒りの感情を喚起したりするのはお手のものなのである。何の抵抗もなく人をだませるのだ。

自分とは価値観も生き方も違うのである。そこをしっかり踏まえて対処する必要がある。

配信元: 幻冬舎plus

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