紙本著色 東照宮縁起絵巻, Public domain, via Wikimedia Commons.
国宝や重要文化財に指定された作品も数多く存在し、平安時代から江戸時代までのさまざまな物語表現を楽しめます。本記事では、絵巻物の歴史を辿りながら、その表現技法や、多種多様な作品の魅力を深掘りします。
絵巻物とは
絵巻物とは、紙や絹を横に長くつなぎ合わせ、絵とそれを補足する詞(ことば)を交互に描き記した巻物形式の作品です。単に絵巻と呼ばれることもあります。
大きな特徴は、鑑賞者が右から左へ時間軸に沿って作品を「読み進める」という、時間芸術の要素を持つ点にあります。
絵巻物の歴史
国宝・源氏物語絵巻「宿木(三)」の断簡。制作推定年代は平安時代末期。徳川美術館蔵。, Public domain, via Wikimedia Commons.
絵巻物の始まりは、日本が中国大陸の影響から脱し、国風文化が栄えた平安時代にさかのぼります。初期は宮廷の暮らしを題材にした作品が多く、物語文学が発展するにつれて、日本の風俗を描く物語絵巻が主流となりました。
絵巻物に用いられたのは「やまと絵」の技法です。繊細な色彩感覚と金銀を混ぜた顔料で、装飾的な美しさが追求されました。また、紙を横に貼り合わせる継ぎ紙(つぎがみ)の構成は、画面を横長に使う日本画の伝統的な形式を生み出し、独特な美しさを醸し出しています。
絵巻物の表現技法
絵巻物はその長大な画面を利用して、現代の視覚芸術にも通じる技法を生み出しました。
例えば、連続する出来事を同じ画面内に描き込む「異時同図法」による時間経過の表現や、連続した画面を読み進めるという体験は、まさに現代のマンガやアニメーション作品のルーツと見なされています。
日本四大・三大絵巻物とは
鳥獣人物戯画・甲巻:カエルとウサギの相撲の場面, Public domain, via Wikimedia Commons.
絵巻物の中でも、以下の4作品は日本四大絵巻物として挙げられます。
・《源氏物語絵巻》
・《信貴山縁起絵巻》
・《伴大納言絵詞》
・《鳥獣人物戯画》
なお、上記のうち《鳥獣人物戯画》を除く3作品は「日本三大絵巻」ともいわれる名品です。いずれも国宝に指定されています。
