肝臓は、病気が進行するまで症状が表れにくく、「沈黙の臓器」として知られています。気づかずに放置すると、肝硬変や肝臓がんといった重篤な病気に発展する恐れもあります。本記事では、肝臓内科での検査や治療、肝炎のリスクや予防のための検査の重要性を、日本肝臓学会肝臓専門医の行徳先生に伺いました。

監修医師:
行徳 芳則(ぎょうとく内科・内視鏡クリニック)
獨協医科大学医学部卒業。その後、獨協医科大学埼玉医療センター、東埼玉総合病院、春日部厚生病院などで経験を積む。2024年、東京都台東区の「ぎょうとく内科・内視鏡クリニック」の院長に就任。医学博士。日本内科学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医ほか。
編集部
肝臓内科ではどのような検査が行われますか?
行徳先生
大きく分けると、「血液的な肝臓病の精査」と「超音波による肝臓の形態の印象の評価」という2点が大きいところだと思います。また、内視鏡やCT・MRIは、リスクを考慮し半年~1年おきには受けた方がいいですね。
編集部
肝臓内科で行われる治療について教えてください。
行徳先生
肝臓自体を直接治すというのは中々難しいので、基本的には肝機能が今以上悪くならないようにするというのが目標になってきます。原因にもよりますが、B型肝炎やC型肝炎であれば、ウイルスを退治するような薬を使用します。脂肪肝の方に関しては生活習慣の改善、あるいはそういった方は生活習慣病の合併が多いので、糖尿病や脂質異常症など、肝臓だけでなく全体を見る治療もしていきます。アルコール依存の方の場合は、精神科の先生との協力が必要な場合もありますし、自己免疫性肝炎の方に関しては免疫を抑えるようなステロイド薬による治療がメインになります。
編集部
どのような人に肝臓内科がおすすめでしょうか?
行徳先生
健康診断がきっかけとなる方が多いのですが、肝機能が前より悪くなったという場合は、様子を見ずにまずは一度相談いただきたいです。具体的な肝臓の数値として見るべきものはいくつかあるのですが、最近、日本肝臓学会からは「ALT」の数値が30を超えている人は、一度病院に行くことを推奨しています。
※この記事はMedical DOCにて<肝臓の病気が疑われるのは「ALT30以上」!? 意外と身近な「肝炎」について専門医に聞いてみた>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

