ウイルスに感染してから症状が現れるまでの潜伏期間があり、この間も周囲への感染リスクが存在します。一般的に24時間から48時間の潜伏期間を経て発症し、発症の直前から発症後にかけて大量のウイルスが排出されます。主な感染経路は経口感染で、汚染された食品や水の摂取、感染者の嘔吐物や便との接触、飛沫の吸い込みなどがあります。感染経路を理解することで、予防策の意味がより明確になるでしょう。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
ノロウイルスの潜伏期間と感染経路
ノロウイルスは感染してから症状が現れるまでの潜伏期間があり、この間も周囲への感染リスクが存在します。感染経路を理解することで、予防策の意味がより明確になります。
24時間から48時間の潜伏期間
ノロウイルスに感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は、一般的に24時間から48時間とされています。つまり、ウイルスが体内に入ってから1日から2日後に突然の嘔吐や下痢が始まるということです。潜伏期間中に他者へ感染させるリスクは低いですが、発症の直前から発症後にかけては、便や嘔吐物中に大量のウイルスが排出されます。家族が発症した場合は、無症状の家族もすでに感染している可能性(不顕性感染)を考慮し、手洗いを徹底する必要があります。
潜伏期間の長さには個人差があり、早い方では12時間程度で発症することもあれば、72時間後に症状が現れる方もいらっしゃいます。体調や免疫状態、感染したウイルスの量などが影響すると考えられています。年齢や基礎疾患の有無によっても、発症のタイミングや症状の程度は変わってきます。
この潜伏期間の存在が、ノロウイルスの感染拡大を防ぐことを難しくしている要因の一つです。家族の誰かが発症した場合、すでに他の家族も感染している可能性があるため、全員が手洗いや消毒を徹底し、症状の出現に注意を払う必要があります。特に集団生活の場では、一人の発症をきっかけに広範囲の感染対策が求められます。
主な感染ルートと感染のしくみ
ノロウイルスの主な感染経路は、経口感染です。具体的には、汚染された食品や水を摂取することによる感染、感染者の嘔吐物や便に含まれるウイルスが口に入ることによる感染、そして飛沫やエアロゾルを吸い込むことによる感染があります。それぞれの経路について、予防につながる理解が重要です。
食品を介した感染では、ウイルスに汚染された二枚貝を生や加熱不十分な状態で食べることが代表的です。また、感染した調理者が十分な手洗いをせずに調理した食品を食べることでも感染します。ノロウイルスは少量でも感染が成立するため、わずか10個から100個程度のウイルス粒子で発症することがあります。この感染力の強さが、食中毒として報告される事例の原因となっています。
接触感染も重要な経路で、感染者が触れたドアノブ、手すり、トイレのレバーなどに付着したウイルスが、他の方の手を介して口に入ります。特に嘔吐物の処理が不十分だと、乾燥したウイルスが空気中に舞い上がり、それを吸い込むことでも感染が起こります。この感染力の強さが、施設や家庭内での集団感染を引き起こす理由です。環境中でウイルスが長期間生存できることも、感染拡大の一因となっています。
まとめ
ノロウイルス感染症は、突然の嘔吐と下痢を主症状とする感染性胃腸炎で、24時間から48時間の潜伏期間を経て発症します。二枚貝を介した食品感染と、人から人への二次感染という二つの経路で広がりやすく、特に冬季に流行します。初期症状を早期に認識し、適切な水分補給と安静を保つことが回復への第一歩です。
ノロウイルスの予防には、手洗いの徹底、食品の十分な加熱、調理器具の衛生管理が基本となります。生の二枚貝を食べる際はリスクを理解し、体調や免疫状態を考慮した判断が必要です。感染力が強いウイルスですが、正しい知識と予防対策で、ご自身と大切な方々を守ることができます。
参考文献
厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
国立感染症研究所「ノロウイルス感染症とは」

