競泳男子のリオデジャネイロ五輪銅メダリストの瀬戸大也さんと、飛び込みの元世界選手権代表の馬淵優佳さんが離婚したことを、それぞれのSNSで発表しました。2017年の結婚から9年あまりを経て、それぞれの道を歩むことになったといいます。
報道やSNSの投稿によると、2人の間には子どもが2人います。アスリート同士のカップルとしては結婚当初から注目を集めてきましたが、2020年には東京五輪直前に瀬戸さんの不倫が報じられ、日本水泳連盟から活動停止処分を受けるなどの騒動もありました。
当時は離婚に至らなかったものの、2024年から別居し、離婚協議中であると報じられていました。
有名人夫婦の離婚において、親権や養育費、さらに過去の不倫などの経緯が慰謝料にどのように影響を与えるのでしょうか。離婚問題にくわしい冨本和男弁護士に聞きました。
●過去の不倫はどう影響する?
──報道では、2020年の不倫騒動後も、婚姻生活を継続し、2024年に別居したとされています。この場合、不倫を理由とした慰謝料請求に「時効」はあるのでしょうか。
はい。不倫を理由とした慰謝料請求にも時効があります。不貞の事実と相手を知ったときから3年、不貞のときから20年で時効にかかります。また、当事者が一度許したと評価される「宥恕(ゆうじょ)」があった場合には、請求が認められない可能性もあります。
ただし、不倫を理由とする慰謝料請求は「離婚原因慰謝料」の請求にあたります。これは、離婚を招いた有責行為によって生じた精神的苦痛を償うためのものです。
これとは別に「離婚そのもの」に対する慰謝料請求が認められるケースもあります(最判昭和31年2月21日)。こちらは「相手方の有責不法な行為によって離婚するの止むなきに至ったことにつき、相手方に対して損害賠償を請求することを目的とするもの」です。
この「離婚そのもの」に対する慰謝料請求については、離婚成立時から3年間行使できます。
●高収入だった場合の養育費はどうなる?
──共働きで、かつ双方が高収入のアスリートの場合、養育費は裁判所の「算定表」どおりに決まるのでしょうか。また、現役引退など将来の収入減のリスクは、どのように考慮されるのが一般的なのでしょうか。
実は、養育費の目安とされる「算定表」は、払う側の年収について2000万円までのものしか用意されていません。
高額所得者の場合、生活実態は多様で、年収のすべてが生活費に充てられるわけではなく、貯蓄や投資に回る分も多いと考えられます。そのため、単純な計算式で養育費を割り出すのには無理があります。
実務では、算定表の上限額を一つの目安としつつ、私立学校の学費など「特別な出費」が必要な場合に、個別に上乗せして調整する方法が現実的といえそうです。
また、将来の収入減については、離婚協議で合意した内容を離婚協議書(契約書)としてまとめる際に、「双方の経済状態、物価の変動、その他の事情の変更があった場合には、養育費の額について改めて協議する」といった条項を入れることも考えられます。

