日本弁護士連合会(日弁連)は9月29日、佐賀県警察科学捜査研究所の職員によるDNA型鑑定の不正行為に関する会長声明を発表した。7年余りにわたる不正が見過ごされた事態を「都道府県警察が実施する科学鑑定に対する信頼を根幹から揺るがすもの」と強く非難している。
9月8日、佐賀県警は同研究所の技術職員が担当した632件のDNA型鑑定のうち130件で不正行為を確認したと発表。鑑定を実施せず過去の別事件の資料を用いて虚偽の報告をしたケースが9件、鑑定資料を紛失し新品とすり替えて返却したケースが4件あった。
●「警察内部の監察では証拠偽造を防止できない構造的欠陥」
日弁連は声明で、「本件不正行為は、警察内部の監察及び検察官による指揮並びに都道府県公安委員会による監督では、鑑定に際しての証拠の偽造を防止することはできないという構造的欠陥を改めて明らかにした」と指摘。「他の都道府県警においても、同様の不正行為が行われていることを強く懸念させる」と警鐘を鳴らした。
日弁連は、法務省や警察庁などに対し、中立的な第三者機関による影響検証と再発防止策の策定を要求。また、「不正行為による証拠の偽造を防止するとともに、再鑑定による検証を可能にするためには、犯罪捜査の記録の管理及び保管を義務付けるとともに全面的証拠開示制度を創設することが不可欠である」として、改めて証拠開示制度の必要性を訴えた。

