子宮肉腫は、子宮の壁に肉腫が発生する女性の生殖器に関する病気です。発生率は非常にまれですが、自覚症状が少なく早期発見の難しい病気で、肉腫が大きくなれば子宮全摘手術や化学療法などが必要になります。予防法や治療方法が確立されていない「稀少がん」のひとつであり、早期発見・早期治療が重要となる病気です。今回は子宮肉腫の治療後の再発率や生存率についても触れますので、ぜひ参考にしてください。
※この記事はメディカルドックにて『「子宮肉腫」を発症すると現れる初期症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
子宮肉腫の治療後について

子宮肉腫は再発することが多いのでしょうか?
この病気は再発する可能性があります。再発率は、治療方法や病期によって異なります。例えば手術による治療の場合、切除部位の範囲や、病理学的に悪性度の低い腫瘍である場合は再発率は低いです。一方、放射線療法や化学療法の場合、再発率は高くなることがあります。また病期が進行している腫瘍の場合は、再発しやすい傾向があります。
特に子宮肉腫は、再発率が高いがんのひとつであり、再発した場合は進行性のがんとなりがちなので注意が必要です。
子宮肉腫の治療後について教えてください。
子宮肉腫の治療後は、通常追跡管理が必要です。 治療後の経過を見ることで、再発や進行を早期に発見できます。例えば手術による治療後は、手術後2〜4週間に再診を受け、術後の経過を見ることが 一般的です。また手術後6か月〜1年ごとに再度内視鏡検査を受けることが推奨されています。放射線療法や化学療法の場合は、治療終了後に再診を受け、療養終了後も定期的に追跡管理を受けることが推奨です。
追跡管理には、内視鏡検査・穿刺検査・放射線検査などがあります。治療後の経過を見ながら適切な追跡管理を行うことで、再発や進行を早期に発見でき、早期の治療を施せます。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
子宮肉腫は自覚症状が少なく、発見が遅れがちな病気です。発見が遅れ、肉腫が大きくなると子宮全摘手術や放射線療法など大がかりな治療が必要となり、妊娠機能に影響がでるおそれがあります。発見には定期的に婦人科検診を受けることが必要ですので、少なくとも2年に1回は婦人科でがん検査を受けることをおすすめします。
編集部まとめ

子宮肉腫は発生がまれな希少がんで、予防方法や治療方法が確立されていない病気です。
患者さんの自覚症状が少なく発見が遅れることがあり、肉腫が大きくなれば、治療も大掛かりなものになります。
また子宮筋腫と非常によく似た見た目のため、手術後に診断が下ることも少なくありません。その場合は腫瘍専門の医師にセカンドオピニオンを求めるなど、再度情報を集めることがおすすめです。
この病気の早期発見のためには婦人科で定期的な検査を受ける必要があります。定期検診をしっかり受けることをおすすめします。
参考文献
子宮肉腫について
子宮肉腫(日本婦人科腫瘍学会)
子宮の肉腫(希少がんセンター)

