参政党の憲法草案は侮れない? それでも憲法訴訟のプロが「人権侵害だらけの世の中になる」と警告するワケ

参政党の憲法草案は侮れない? それでも憲法訴訟のプロが「人権侵害だらけの世の中になる」と警告するワケ

●「国民主権」が欠落している

とくに深刻な問題として、平弁護士は「国民主権が明記されていない」ことを挙げる。

現行憲法は国民主権を明確に規定しているが、参政党の草案では第4条に「国は主権を有し」とあるだけで、国民主権には一切触れられていない。

「読み方によっては、あらゆる意味の主権が国家だけにあるとも解釈できてしまう。主に、主権には外国との関係での『対外的独立性』と、国内政治との関係での『政治的な最終決定権』の意味があるが、後者が不明確になっている」と指摘する。

「当たり前のことだから書いていない」という参政党側の反論に対しても、平弁護士は「他の政党や政治家が政権を取ったときに、『明確に書いていないから、国民主権という意味ではなく、国家主権だ』という形で、市民の基本的人権を簡単に侵害してしまう危険性がある」といい、現行憲法前文や第1条のように、国民主権を明記することの重要性を強調した。

【取材協力弁護士】
平 裕介(たいら・ゆうすけ)弁護士
2008年弁護士登録(東京弁護士会)。主な業務は行政訴訟、憲法訴訟。行政法研究者でもあり、多数の論文等を公表。大学やロースクール(法科大学院)で行政法等の授業を担当(非常勤)。審査会の委員や顧問など、自治体の業務も担当する。
事務所名:AND綜合法律事務所
事務所URL:https://and-lawoffice.com/

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