信じた自分がバカだった
私は、サイフから、ふるえる手で代金を支払いました。
タクシーを降りた後、彼女がどんな顔をして私にあやってきたか…あまり覚えていません。ただ、娘の手を強くにぎり、前だけを見て歩きました。
悔しさと、彼女に対する嫌悪感。そして、何より、彼女を信じてしまった自分自身への怒りで、視界がにじみました。
その日以来、私は、綾さんからの連絡を、完全に遮断しました。
「タクシー代、本当にごめんね」
「明日、公園行かない?」
次々と届くメッセージをスルーすることで、私は自分の身を守っていました。しかし、それでも、彼女はしつこく連絡を寄こしてきました。
失望、そして絶縁の決意
「私、何かしたかな?」
「おこってるなら、理由を教えて」
あまりにも無自覚なメッセージの数々…。彼女の無神経さが、私の中にねむっていた、最後の導火線に火をつけました。
私はスマホを手に取り、これまでのすべての思いを、一文字一文字にたたきつけるようにして打ち込みました。
「綾さんは、お金にルーズすぎます」
「私は、もう綾さんに会いたくありません。 あなたがふみ倒そうとしているお金は、私が娘のために、家族のために、自分のたのしみをけずって守っているお金なんです」
「将来、あなたの息子が、あなたと同じように、友だちに「お金がないから払って」と言い続けて、周りから人が去っていく姿を想像したことがありますか?私は、自分の娘には、そんな生き方を見せたくないんです」
自分の思いの丈を文字に起こすと、今まで言えなかった心のモヤが晴れたような気がしました。

