脳転移・耐性化・副作用の課題に応えるROS1陽性肺がん新薬の実力とは

脳転移・耐性化・副作用の課題に応えるROS1陽性肺がん新薬の実力とは

臨床試験で示された有効性

未治療患者の無増悪生存期間は約4年

タレトレクチニブの承認は、主に中国で行われたTRUST-I試験(173人)と、日本を含む国際共同のTRUST-II試験(164人、うち日本人25人)という二つの第II相臨床試験の結果に基づいています。二つの試験を統合した解析(273人、うちアジア人83.9%)では、ROS1阻害薬未治療の患者さんで奏効率88.8%、無増悪生存期間の中央値は45.6カ月という結果でした。

林教授は「クリゾチニブや過去のエヌトレクチニブなどでは、1年半から2年というのが無増悪生存期間でしたので、数字だけでいうと2倍以上」と、既存薬との差を説明しました。

日本人患者でも高い効果

TRUST-II試験に参加した日本人患者さん25人でも有効性が評価され、未治療患者で85.7%、既治療患者で70.0%の奏効率が認められました。林教授は「非常に高い有効性が認められた」と評価し、実臨床でも日本人患者さんに同様の効果が期待できるとみています。

治療選択肢としての位置づけ

ガイドラインに早くも収載

タレトレクチニブは、日本肺癌学会の「肺癌診療ガイドライン 2025年版」にも収載されました。ROS1融合遺伝子陽性肺がんに対するROS1阻害薬として、既存のクリゾチニブ、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブと並んで推奨されています(推奨の強さ1、エビデンスの強さC)。

現時点では、4種類の薬剤を直接比較した臨床試験がないため、同ガイドラインで4剤の優先順位は示されていません。しかし林教授は「有効性が高い上に副作用が軽減されている薬がある場合は、最初に使うのが一般的」と述べ、タレトレクチニブを第一選択として使用することは「リーズナブル」との見解を示しました。

「コンパニオン診断薬」について

タレトレクチニブを使用するには、事前にROS1融合遺伝子が陽性であることを遺伝子検査で確認する必要があります。国内で薬事承認を得ているコンパニオン診断薬(効果や安全性を高めるため、治療開始前に治療薬の対象者であるかを診断するための検査薬)は「AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル」です。他の遺伝子検査でROS1陽性と判明した場合でも、タレトレクチニブを使用するにはAmoyDxでの再検査が必要になる場合があります。林教授は再検査を行ってでもタレトレクチニブを使用する意義があるとの考えを示しました。

配信元: Medical DOC

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