●安倍総裁時代にも同じような広告が出た
このような広告は今回が初めてではなく、安倍晋三総裁時代にも、アベノミクスを訴える内容の広告が投票日に掲載されたことがありました。
当時も公職選挙法違反ではないかとの議論が起きましたが、結局は何事もなかったかのように今回の広告につながっているものと思われます。
ただ、政策を訴える形式であっても、実質的には特定政党や候補者への投票を呼びかけているように見える場合、「選挙活動」と「政治活動」の線引きは極めて困難です。
●捜査機関は「放任」してきた
このような広告は、投票日当日に掲載する内容としては、違法と評価される可能性が高いと言うべきです。だからこそ、野党側も含め、投票日当日の広告掲載は控えられてきたのです。
立件されてこなかったのは、捜査機関が事実上放任してきた側面があると思います。掲載した新聞社側も、違反することが明らかとはいえないという判断で掲載に応じた可能性があります。
このような既成事実が積み重なることで、事実上の“前例”のルールとして扱われるおそれもあります。
仮に野党が同じようなことをやって突如として立件されるというのであれば、捜査の公正性・中立性からも問題になるからです。したがって、与野党問わず、どの政党でも一律放任ということになれば、それがルールということになります。
最終的な法解釈権は裁判所にありますが、長年放任されてきたものを突如として「違法」と評価することは、選挙の公正のみならず、罪刑法定主義(犯罪と刑罰はあらかじめ法律で定めておくべき)の観点からも問題をはらみます。

