投票日当日に自民党が新聞広告 「公選法違反では」と疑問の声、弁護士は「選挙のルールを明確な形で示すべき」

投票日当日に自民党が新聞広告 「公選法違反では」と疑問の声、弁護士は「選挙のルールを明確な形で示すべき」

●高市自民による「やったもん勝ち」は否定できず

ただし、最初に大規模に実行したのが与党(安倍氏のときは自民党だけでなく公明党も同様の広告を出していました)であった点については、公平性の観点からも疑問が残ります。

捜査機関は与党であるがゆえに放任したのではないかという疑念が浮かぶのは当然です。たとえば、安倍総理(当時)の選挙演説でのヤジ問題で、北海道警察がヤジを飛ばした人を強制的に排除したのは政権に忖度しているのではないかとさえ見えるほど公正性を欠いていた出来事でした。

こうした経緯を踏まえると、今回の投票日当日の広告は、高市総裁の自民党による「やったもん勝ち」と受け止められる面があることは否定できません。

●今回の選挙を踏まえた「これからの課題」

公職選挙法は、諸外国と比べても禁止規定が多く「べからず選挙」とも言われています。

どの政党もどの候補も同じ土俵で戦うことにはなり、たとえば選挙ビラの枚数にも規制がありますが、平等といえば平等です(政党優位に扱っている点は明らかに平等を失していますが、この自民党の広告も含まれます)。

それら規制の大義名分は選挙に費用が掛かれば、資金力によって差が出てしまい、選挙の公正性を害するからと説明されています。

しかし、今、現実に自民党がおこなっていることは、政治活動という名目で資金力にものを言わせた宣伝そのものです。

新聞の全国広告への掲載は資金力がなければできませんし、YouTube動画も再生数1億回を超えたことが話題になっていますが、これも費用の問題と指摘されています。

公職選挙法で可能な選挙活動の大枠をはめてしまい、しかし、与党自民党は政治活動として湯水のように使えるものがある、その原資が政党交付金や企業献金であるならば、なおさら選挙の公正性が害されていると言えます。

今回の投票日当日の広告掲載の問題は、選挙のルールを明確な形で具体的に定める必要があることを示していると言えます。

【取材協力弁護士】
猪野 亨(いの・とおる)弁護士
札幌弁護士会所属。離婚や親権、面会交流などの家庭の問題、DVやストーカー被害、高齢者や障害者、生活困窮者の相談など、主に民事や家事事件を扱う。
事務所名:いの法律事務所
事務所URL:http://inotoru.blog.fc2.com/

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