帯状疱疹後の激痛「PHN」どう防ぐ?早期治療で慢性痛を抑える方法【医師解説】

帯状疱疹後の激痛「PHN」どう防ぐ?早期治療で慢性痛を抑える方法【医師解説】

帯状疱疹は、神経に沿って痛みや発疹を引き起こす感染症で、適切な治療を受けないと後遺症として神経痛が長期間続く可能性があります。この痛みを防ぐために、どのような対応ができるのでしょうか? 今回は、帯状疱疹の後遺症について「恵比寿いたみと内科のクリニック」の加藤類先生に解説してもらいました。

加藤 類

監修医師:
加藤 類(恵比寿いたみと内科のクリニック)

九州大学を卒業後、福岡赤十字病院、九州大学病院、北海道大学病院、砂川市立病院、北海道大学病院麻酔科助教、菊名記念病院麻酔科部長、東京医療センター、国立国際医療研究センター病院麻酔科医長、済生会中央病院麻酔科部長などで経験を積みながら、ペインクリニックの外来や緩和ケアや無痛分娩にも携わる。 2024年、東京都渋谷区に「恵比寿いたみと内科のクリニック」を開院、院長となる。 医学博士、日本ペインクリニック学会ペインクリニック専門医、日本麻酔科学会麻酔科専門医・指導医、日本心臓血管麻酔学会心臓血管麻酔専門医、JB-POT。

編集部

「帯状疱疹後神経痛(PHN)」について教えてください。

加藤先生

帯状疱疹発症後3ヶ月以上にわたり強い痛みが続く状態を「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼び、帯状疱疹とは異なる治療が必要になります。PHNの痛みは「刺されたような痛み」や「ヒリヒリ焼けるような痛み」と表現されることが多く、放置すると痛みが徐々に強くなる場合があります。

編集部

どのような治療を行いますか?

加藤先生

PHNの治療には薬物療法と神経ブロックが用いられます。PHNなどの慢性痛は、強い痛みが長期間続くと重症化しやすいことがわかっています。そのため、帯状疱疹になった場合、薬物療法に加え、早期に神経ブロックやパルス高周波療法を併用して可能な限り痛みを抑えることが推奨されています。

編集部

PHNにならないためにはどうしたらよいでしょうか?

加藤先生

帯状疱疹やPHNの発症を予防するためには、ワクチンの接種が非常に有効です。50歳以上の方には居住地の自治体から補助金が出るため、早めにワクチン接種を検討してください。帯状疱疹になってしまった場合、現時点でPHNへの移行を予防する有効な手段は確立されていません。しかし、星状神経節ブロックなど自律神経系へのブロックは、局所の血流を増加させることで神経の再生を促進し、PHNの発症を予防する効果が期待されています。また、発症早期から痛みをコントロールすることにより、PHNの症状を軽減する事が可能であると考えられています。そのため、帯状疱疹になった場合には、早めに専門的な治療が行える医療機関を受診し、薬物療法に加え神経ブロックなどを行うことをお勧めします。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

加藤先生

帯状疱疹になった場合、痛みをできるだけ早くコントロールし、慢性痛のリスクを下げることが重要です。痛みを我慢せず、早めに神経ブロックなど専門的な治療が受けられる医療機関を受診してください。

※この記事はMedical DOCにて<「帯状疱疹」で後遺症を残さないためにどうすればいいか【医師解説】>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

配信元: Medical DOC

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