
映画好きで知られるお笑い芸人・加藤浩次と映画ライター・よしひろまさみちが、毎週1本の映画を語り合う「加藤浩次とよしひろのサタデーシネマ」(毎週土曜朝8:00-11:00、BS10)。2月14日(土)の放送回で紹介されるのは、1996年公開のアメリカ映画「ザ・エージェント」だ。スポーツジャンルの作品でありながら、ラブストーリー的な要素もある本作の奥深さについて熱いトークが繰り広げられた。
■スポーツ映画にして恋愛映画…異色のバランスが生んだ傑作
番組冒頭、加藤は「シンパシーを感じますよ。大手エージェントを独立してますから」と主人公ジェリーの境遇と自身のキャリアを重ねてコメント。本作についてよしひろは「一筋縄ではいかないラブストーリーだし、いわゆる“厨二病”的な恋愛ドラマではないからこそ、傑作のひとつ」と紹介し、大人の恋愛描写を高く評価した。
これに深くうなずいた加藤は、年齢を重ねた視点から「年とともに愛情って補完し合うものだと気づく。その過程を2時間のドラマに凝縮して2人の恋愛模様を入れたっていうのが、この時代には新しかった」と鋭く考察。多くのラブストーリーでは2人の出会いから好きになっていく“恋”を描きがちだが、本作はその先にある愛情までを描ききっていることに革新性を見い出した。
興味深かったのは、よしひろの「もしエージェントの話だけだったら、ここまで評価が高まっていなかったのではないか」という考察だ。エージェントのサクセスストーリーに留まらず、ラブストーリーを軸に据えたことで作品は深みを獲得した。実際、本作はアメリカ映画協会(AFI)が選ぶラブストーリー映画トップ100にランクイン。さらにスポーツ映画ジャンルでも10位に選出されている。
またアメリカの映画団体・AFIが発表した名セリフランキングでは、トップ100以内に「Show me the money(金を見せろ)」、「You had me at hello(あなたの顔を見たとき、言いたいことはわかってた)」という2つのセリフも選出。特に「Show me the money」は当時、アメリカのビジネスシーンでもジョークとして多用されるほど人気だったという。
さらに話題は“知られざるキャスティングの裏話”へ。当初ジェリー役にはトム・ハンクス、ドロシー役にはウィノナ・ライダーが想定されていたという。しかし当時のトム・ハンクスは「フォレスト・ガンプ」でオスカー賞を受賞し多忙を極めており、やむを得ず辞退。そうそうたる顔ぶれの俳優陣でオーディションがおこなわれ、最終的にトム・クルーズとレネー・ゼルウィガーが起用された。特にレネー・ゼルウィガーは当時まだまだ無名であったが、本作ではかわいらしさと“シゴデキ”感が同居した独特の存在感を放っていた。加藤も「このキャスティングはバッチリだった」と納得の様子だ。
加藤が語った「愛情は補完し合うもの」という視点はまさに本質を突いているが、そのようなリアリティが感じられる作品はそうそう多くない。「ザ・エージェント」の魅力は人を愛することの強烈なリアリティを描いている点にあり、だからこそ公開から30年を経た今でも不朽の名作として語り継がれている。
■「ザ・エージェント」ストーリー
ジェリー・マクガイアは一流スポーツ・エージェンシーSMIに属し、多くのスポーツ選手を抱える有能エージェント。だがある日、これまでのやり方に疑問を感じた彼は理想を記した提言書を会社に提出し、その1週間後に解雇されてしまう。やむなく独立を宣言するが、彼についてきたのは近ごろ成績不振のフットボール選手ロッドと、経理係のドロシーだけだった。しかし、そのロッドまでも彼の元を去ろうとして…。

