多発性骨髄腫の症状
多発性骨髄腫では、大きく分けて造血機能の抑制による症状、Mタンパクの増加による症状、骨破壊による症状が起こります。症状が多い分注意点も増えるので、1つずつ確認していきましょう。
貧血
赤血球が減少し、貧血を起こします。貧血になると動悸や息切れがすることもあります。場合によっては転倒にもつながり危険なので、見逃せない症状です。
歯茎からの出血・鼻血
血小板が減少することで、出血傾向が認められます。具体的には歯茎からの出血や鼻血が出やすくなり、止血しにくいことがあります。歯磨きをしたり、鼻をかんだりするときには注意が必要です。
倦怠感・発熱
白血球が減少すると、感染症のリスクが増えます。感染すると倦怠感を自覚したり、発熱しやすくなったります。
骨病変
多発性骨髄腫は、新しい骨を作り古い骨を溶かすサイクルのバランスが崩れてしまうことで、骨がもろくなるのが特徴です。
骨折がきっかけで多発性骨髄腫を発症していることに気付くケースもあります。骨病変は脊髄圧迫まで進行する可能性もあります。
高カルシウム血症
高カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が高くなることで、めまい・便秘・頭痛・口渇・食欲不振が症状として現れます。破骨細胞という古い骨を溶かす細胞が活性化し、高カルシウム血症が起こりやすくなります。
過粘稠度症候群
過粘稠度症候群とは、血液中のMタンパクが増加することで血液の粘り気が強くなり、血液の流れが悪くなる病気です。過粘稠度症候群を発症すると、めまいや頭痛が起こる場合があります。
多発性骨髄腫の治療方法
多発性骨髄腫は薬物療法、放射線治療、維持療法などさまざまな治療法があります。予備知識として役立ててください。
薬物療法
薬物療法は、症状の緩和やがんの進行を抑制することが目的です。細胞障害性抗がん剤や分子標的薬、ステロイド薬を組み合わせて実施します。
細胞障害性抗がん剤は、主にがん細胞の成長や増殖を阻害する薬で、メルファランが該当します。
分子標的薬はがん細胞だけをピンポイントに攻撃するのが特徴です。抗がん剤治療といえば点滴のイメージがありますが、分子標的薬の1つであるボルテゾミブは投与方法に皮下注射もあるため、短時間で投与を終えられるのがメリットです。
抗がん剤と併用することもあるステロイド薬は、炎症や免疫を抑制する効果があります。免疫を抑制することで感染しやすくなるため、マスクの着用や手洗いうがいなど感染予防に努めることが大切です。
ほかにも殺腫瘍作用のある免疫調整薬のレナリミドや、抗体薬であるダラツムママブなど数多くの治療薬が存在します。
自家造血幹細胞移植
自家造血幹細胞移植とは、患者さんの造血幹細胞を採取して冷凍保存したものを高用量の抗がん剤を投与した後に解凍し、再び患者さんに投与する治療法です。
自分の造血幹細胞を移植するため、早期に免疫力の回復が期待できます。しかし造血幹細胞を採取する際にがん細胞が混入し、再発に影響する可能性があるとされています。
自家造血幹細胞移植を行うには移植率を上げるために65歳未満であること、重篤な感染症や肝機障害・腎機能障害がないこと、心肺機能が正常であるかの確認が必要です。
放射線治療
骨病変による痛みの緩和や腫瘍を縮小することを目的に、放射線治療を行うことがあります。Mタンパクを作り続ける原因である骨髄腫細胞は、放射線の感受性が高いことが特徴です。
骨病変が一部にしかみられない場合は、少ない放射線量でも高い治療効果が得られます。病変が脊髄圧迫まで進行している場合は、ステロイド薬を併用することもあります。
維持療法
造血管細胞移植の治療効果を維持し、更なる効果を得るために維持療法を行うことがあります。維持療法により再発を遅らせたり、生活の質を維持したりすることが可能です。
治療は、寛解導入療法や初回化学療法よりも強度を下げた薬剤内容で行います。寛解になったとしても再発するケースがあるため、その際は再び治療を行います。

