信也は、美代子の行動を「ハラスメント」と言い、正当な反撃を誓う。数日後、家族で出かけようとすると、またも美代子が現れ、娘をあずかると言い出す。逃げ場のない状況で、信也は静かに…しかし、力強く口を開いた。
お向かいさんのしていることは「善意」?
「美代子さんも、悪気はないんだろうけどなあ……」
信也はウデを組んで、むずかしい顔をしました。
「孫が遠くに住んでいて、なかなか会えないって言っていたし…。りんを自分の孫みたいに思っているんだろう。自治会長として、町の防犯などで助けてもらっている部分はあるし…」
無下にもできない…。
「分かってる。分かってるんだけど……!」
私は声をつまらせました。
「"悪気がない"のが、一番厄介なの!善意でやっていると思ってるから、何を言っても届かないのよ。でもね、信也くん。私の育児を否定して、りんを泣かせてまで抱きしめるのが、本当に"善意"なの?」
これは立派なハラスメント
私の問いかけに、信也の表情が変わりました。
「いや、それはちがうな。家族のプライバシーを侵害して、母親にストレスを与えるのは、親切なんかじゃない。これはハラスメントだ…」
信也はスマホを取り出し、メモを取り始めました。
「今すぐ、引っ越すのは現実的じゃない。でも、毅然とした態度で"境界線"を引く必要はある。今まで聡子がやさしくことわっていたから、彼女は押せばいけると思ってるんだ。次は俺が言うよ」
「でも、角が立ったら……」
「大丈夫。俺が父親として、冷静に話す。感情的にならずに、事実を突きつけるんだ。聡子はだまってていいから」
それからの数日間、私は美代子さんと会わないよう、最新の注意を払って生活しました。

