多発性骨髄腫(Multiple Myeloma: MM)という病気をご存知ですか?多発性骨髄腫は血液のがんの一種であり、完治させることは難しいとされています。
病気が進行していくと、自己免疫能力の低下・腎障害・骨の破壊などさまざまな症状が起こり、生活に大きな負担が出てきます。そのため、早期の発見・治療を行うことが非常に重要です。
今回は多発性骨髄腫の治療法について、詳しく解説していきます。
※この記事はメディカルドックにて『「多発性骨髄腫の前兆となる4つの初期症状」はご存知ですか?進行速度も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
多発性骨髄腫とは?
多発性骨髄腫は、がんの中でも珍しい部類になりますが、どのような症状が現れるのかご存知ですか?病気と向き合っていくためにも、正しい知識を身につけておきましょう。
形質細胞ががん化することで発生するがん
多発性骨髄腫は血液中の細胞である形質細胞が、がん化して起こるものです。通常、形質細胞は体をウイルスなどの細菌から守る抗体を作り出しています。
しかし、形質細胞ががん化し骨髄腫細胞になることによって、細菌を攻撃する能力のないMタンパクという抗体を生成し続けます。この骨髄腫細胞・Mタンパクが体内に蓄積されていくと自己免疫能力が低下し、感染症を始めとするさまざまな問題が引き起こされるのです。
特にご高齢の方は、免疫力の低下による合併症を引き起こすリスクが高いので、注意が必要になります。
10万人あたり約5人が発症するとされている
多発性骨髄腫は10万人あたり約5人が発症するとされており、がんの中でも珍しく発症する確率はがん全体の1%程度です。
高齢の方が発症する場合が多く、50代後半から発症率は上昇していき、腎障害・感染症といった合併症のリスクが懸念されます。また、女性より男性の方がやや発症する割合は高くなっています。
多発性骨髄腫の治療法
多発性骨髄腫の治療は、患者さんの状態に合わせて適切な判断が必要です。骨髄腫細胞によって何らかの症状が現れた場合、基本的には化学療法・大量化学療法・自家造血幹細胞移植の適切な処置を患者さんへ行っていきます。無症状の方に関しては経過観察を行い、処置が必要だと判断された場合、治療が開始されます。
化学療法
化学療法は、抗がん剤を使用する基本的な処置です。また、65歳以上で感染症や肝臓・腎臓に障害がある場合、自家造血幹細胞移植ができないので化学療法を行います。合併症の有無など患者さんの経過を観察しながら、投与する薬剤の種類・量を調整していきます。
大量化学療法
大量化学療法は65歳未満で感染症・肝臓・腎臓の機能に障害が見られない場合に、自家造血幹細胞移植と共に行われます。
大量の抗がん剤を投与し、骨髄腫細胞を死滅させることが目的です。しかし、脱毛・嘔吐・下痢・腎障害をはじめとするさまざまな副作用がありますので、医師とよく相談し治療していくことが重要になります。
自家造血幹細胞移植
自家造血幹細胞移植は、大量化学療法によって骨髄腫細胞をできるだけ死滅させ、あらかじめ採取しておいた自身の造血幹細胞を戻すことを指します。自家造血幹細胞移植を行うことにより、正常な造血機能への回復を目指す方法です。

