梅毒は、病状の進行とともに、全身にさまざまな症状を引き起こす性感染症です。しこりや発疹が出ますが、痛みなどもなく発見が遅れることがあります。腕を含む全身の発疹は、ほかの皮膚疾患と区別がつきにくいのが特徴です。この記事では、梅毒による腕の症状が現れた際の対処法について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「梅毒」を発症すると「腕」にどんな症状が現れるかご存知ですか?【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
腕に梅毒のような症状が現れたときの対処法

腕に梅毒とみられる症状が現れたときの診療科を教えてください
腕に、梅毒かもしれないと思われる症状が出たら、皮膚科を受診しましょう。このほかにも、性感染症の診療を行っている病院や、産婦人科、泌尿器科なども挙げられます。ただし、腕の症状はほかの皮膚疾患の可能性もあるため、まずは皮膚科の受診を検討するのが一般的です。判断に迷う場合は、受診前に医療機関へ相談してみましょう。
腕の梅毒はどのように治療しますか?
梅毒は、抗菌薬によって治療されます。まず、ペニシリンといわれる抗菌薬が検討されます。従来は飲み薬で治療されていましたが、2021年9月には、世界的な標準治療薬である注射剤も日本で承認されました。ベンジルペニシリンベンザチンという薬剤です。
ペニシリンに対してアレルギーがあるなど、ペニシリンが使用できない場合は、テトラサイクリン系といわれる種類の抗菌薬が検討されます。いずれが選択されるかは病状や患者さんの状況によって異なります。
参照:梅毒に関するQ&A(厚生労働省)
腕の梅毒の治療期間を教えてください
腕の梅毒の治療期間は、感染の時期や病状の進行度によって異なります。腕に発疹が出ている場合は、第Ⅱ期の梅毒のことが少なくありません。適切な抗菌薬による治療を行えば、おおむね2~4週間ほどの治療期間となる可能性があります。ただし、個々の症例によって病状はさまざまであるため、治療期間が長くなるケースもあります。また、梅毒は一見症状が治まっても、体内に菌が残っていることがあるため、血液検査で治療効果(抗体価が治療前の1/4以下)を確認するまで治療を継続することが重要です。自己判断で中止せず、医師の指示に従いましょう。
参照:
『梅毒』(性感染症診断・治療ガイドライン 2020)
『梅毒診療の考え方』(日本感染症学会)
腕の梅毒は治療するともとどおりになりますか?
初期の梅毒で適切な治療を受けた場合、多くの方で完治が期待できます。腕の梅毒も、早期の段階で治療をすればきれいになるケースが少なくないでしょう。病状が進行する前に治療できれば、将来的な健康への影響はほとんど心配ないといわれています。医師の指示どおり十分な期間治療を続けることが大切です。
編集部まとめ

梅毒は、感染の初期には気付きにくいことが多い一方で、放置すると全身に広がり、重い合併症を引き起こすおそれがあります。腕に赤い発疹やぶつぶつが出てかゆみがない場合は、梅毒の可能性も考えられます。早めに皮膚科を受診することで、早期発見・早期治療につながります。梅毒は、現在では有効な治療薬があり、適切な治療を早期に受ければ治癒が期待できる感染症です。気になる症状があるときは自己判断せずに、医療機関に相談しましょう。
参考文献
『梅毒に関するQ&A』(厚生労働省)
『性感染症 』(厚生労働省)
『梅毒(詳細版)』(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
『Syphilis』(Cleveland Clinic)
『梅毒』(性感染症診断・治療ガイドライン 2020)
『梅毒診療の 考え方』(日本感染症学会)

