45分遅刻して、ようやくさえこから連絡がきた。
「さえこ?ねえ今どこにいるの?早くきてよ」
ようやくうとうとしかけた風香を再び抱っこして、目的地に向かおうとすると案の定目が覚めて、またぐずぐずし始めてしまった。
「あかねー!ごめんごめん! ネイル乾かすのに時間かかっちゃって!わ、風香ちゃん! かわいいー!」
自分の遅刻のせいで風香が泣いていることなんて、微塵も考えていない様子。私の労力、風香の生活リズム。全てが彼女の「ネイル乾かす時間」以下だった。
「ごめんね、さえこ。風香がもう限界みたい。今日はもう帰っていい?」
これが、私が出した精一杯の抵抗の言葉だった。さえこは少し不満そうな顔をしていたけれど、
「えー、もう? せっかく来たのに…じゃあ、また誘うわ」
と、あっさり帰っていった。くるっと彼女が背を向けた瞬間、私は崩れ落ちそうになった。マサトの言う通りだ。もう、限界だ。この子と、この子の生活を犠牲にしてまで、10年の友人という呪縛を守る必要なんて、どこにもない。
時間も体力も削られて…
10年来の友人・さえこの誘いを断ることができず、子連れで会う約束をしました。ところが「ネイルを乾かす時間」を優先し、45分も待たされてしまいました…。
子どもを連れて、他人との時間に合わせるのは本当に大変ですよね。それを、あっさりと裏切り、さらには悪びれない さえこの態度には、憤りを感じます。
その夜、事の一部始終を夫・マサトに相談。すると、マサトからは「悪縁は切るべき」と背中を押され、一歩踏み出す決意をします。
「縁を切る」のは悪いことじゃない
次の日から、私は思い切った行動に出た。
まず、さえこのSNSをブロックした。見たくもない旦那自慢や、キラキラした独身謳歌アピールを目にするだけで、またストレスが溜まるのは目に見えていたから。
そして、さえこから送られてくるメッセージアプリの返信頻度を極端に減らした。今までは中途半端に優しく、「うん」「そうだね」「大変だったね」と返していたのをやめた。
既読無視、または数日経ってから「ごめん、バタバタしてた」と一言だけ返すようにした。
最初は
「あかね、最近冷たくない?」
「メッセージ見てない?」
「何か怒ってる?」
という催促のメッセージが来た。当然だ。今まで私が彼女の行動を全て受け入れていたから、急に壁を作られて戸惑っているのだろう。
でも、私はひたすら徹底した。彼女からのメッセージを読んでも返さない。
45分も待たされた苦い経験と、夫・マサトからの助言で即行動をし始めた あかね。さえこは、明らかに戸惑っているようですが、もう同情する余地はありませんね。「怒って当然」のことを、さえこは10年もし続けてきたのです。

