あたらしい関係のためのルール
「るいさん、私、本当にはずかしいよ」
綾さんは、どこか吹っ切れたような表情をしていました。
「今まで、自分がどれだけの人に迷惑をかけてきたか…ようやく分かった気がする。るいさん、うちに来る時に、手土産持ってきてくれてたよね…。それなのに、私はいつも もらうばっかりで…。本当にるいさんには、甘えてたよね」
「…私もね、綾さんにちゃんと言えなかったのが、良くなかったって思ってる。ため込んで、勝手にきらいになって。それも、友だちとして失礼だったよね」
私たちは、「あたしい関係のためのルール」を決めました。
「お金がない時は、正直にそう言って遊ばないこと」
「もし、立て替えが発生したら、その場で必ず、精算の期限を決めること」
こうした取り決めをしたことで、私たちの間から不透明な「遠慮」が消えました。
「お金」は信頼関係だからこそ、大事に
今では、彼女がうっかりサイフを忘れても、私は笑ってこう言えます。
「また忘れたの?来週までに、利子つけて取り立てに行くから、覚悟しといてね!」
「ひえー!ごめんなさい、すぐ振り込みます!」
お金の話は、汚いことでも、避けるべきことでもありません。
大切な人と、長く付き合っていきたいからこそ、誠実に向き合わなければならない問題なのだと、私はこの一件を通じて学びました。
空を見上げると、いつの間にか桜は散り、あざやかな新緑が芽吹いていました。
「ママ、見て!ちょうちょ!」
「本当だ、かわいいね」
「こないだね、おばちゃん(綾さん)が、モンシロチョウって教えてくれたんだよ。わたし、おばちゃんのこと大好き!」
娘が元気にかけ寄ってきます。
私はその小さな手をしっかりとにぎり、前よりも少しだけ強くなった自分を感じながら、歩き始めました。
私たちの毎日は、これからも続いていきます。
ささやかだけれど、誠実で透明な、この大切な日常を守りながら。

