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「僕は決してスーパーマンではない」作曲家・澤野弘之が、初エッセイでさらけ出した“凡人”としての素顔と葛藤

「僕は決してスーパーマンではない」作曲家・澤野弘之が、初エッセイでさらけ出した“凡人”としての素顔と葛藤

澤野弘之にインタビューを実施した
澤野弘之にインタビューを実施した / ※提供画像

2月3日に発売された、作曲家・澤野弘之の初のエッセイ集『錯覚の音』(扶桑社)。アニメ『進撃の巨人』や『機動戦士ガンダムUC』など、数々のヒット作の劇伴を手掛けてきた音楽界のヒットメーカーが、なぜ今、自身の半生を振り返る筆を執ったのか。

この度、ザテレビジョンでは本が完成したばかりの澤野に直撃インタビュー。「自分は決してスーパーマンではない」と語る、澤野の意外な素顔と、独自のクリエイティブ論に迫る。

■「昔から変わっていない自分」を再確認した執筆期間

――初のエッセイ本が完成し、実際の本を手に取られた時の感想を教えてください。

これまでCDのサンプルが届くことは何度もありましたが、やはり「書籍」という形は初めてなので新鮮でした。今回は僕が自分で撮り溜めてきた写真もデザインに散りばめているので、改めて「完成したんだな」という実感が湧きましたね。

――執筆を通して、ご自身の人生観や仕事観について、新しい発見はありましたか?

発見というよりは「結局、自分の大事にしていることや考えていることは、昔から変わっていないんだな」と再確認した感覚です。でも、これまでの道のりを振り返る作業は面白かったですし、書き進めることで改めて前向きな気持ちになれた貴重な経験でした。

■「音楽の自信」の源は、思い込みと客観的な反応

――著書の中で「学生時代は人前に出ると震えるほど緊張した」というエピソードがある一方で「自分の音楽が劣っているはずがない」という強い自信を持たれていたのが印象的でした。その自信はどこから来ているのでしょうか?

一番は「自分が作っているものは良いんだ!」という強い思い込みですね。それがなければ続けられなかったと思います。ただ、僕は自己満足だけで終わるタイプではなく、人に聴いてもらってどう反応してもらえるかをすごく重要視していて。

ライブにお客さんが来てくれたり、聴いてくれた皆さんから「良い」と言っていただけることが、常に次の自信に繋がっています。自分の中の意志と、外からの反応。その両方があって今の僕の自信は固まっているんだと思います。

――悩みが浮上してきた時の向き合い方も独特ですよね。立ち止まるよりも、動き続けることで解決していくような。

そうですね。僕は決して器用なタイプではありません。同じミスを繰り返して「なんでまた同じことやってるんだ」と悩むこともあります。でも、ずっと悩んでいる自分を見ていたくないんです(笑)。

悩んでいてもいいから、最終的には前を向いている自分を見ていたい。止まっているよりも動いている方が、悩みも時間とともに弱まっていく気がします。

■「スランプは一度もない」作曲は“料理”と同じ

――膨大な楽曲を手掛けてこられましたが、制作に行き詰まる「イップス」のような経験はないのでしょうか?

それが…僕いまだに一度もないんですよ…(笑)

――それはすごい…!よく言われる「音が降りてくる」といった感覚なのですか?

いや、僕に音が降りてきたことなんて一度もありません(笑)。僕はよく作曲を「料理」に例えるのですが、最初は作り方が分からなくても、一つずつ手順を習得していけば、誰でもカレーが作れるようになりますよね。そこから応用で「次は違うカレーを作ってみよう」と広がっていく。音楽も全く一緒で積み重ねなんです。

作曲が「神格化」されることもありますが、基本的には誰でもやり続ければできるようになるものだと思っています。

――スランプに陥らないための、澤野さん流のコツはありますか?

少しでも気になるところがあると作業を止めてしまう人が多いと思うのですが、僕は気になったままでも一旦最後まで完成させちゃうんです。一曲形になると安心しますし、後でフラットな気持ちで見直すと、意外と気にならなくなっていたり、違う解決策が見えたりする。単に僕が「せっかち」なだけなんですけどね(笑)

■若手へのエール「業界の“当たり前”を真に受ける必要はない」

――エッセイの中では、若い世代へのメッセージも綴られています。「僕のアシスタントになるなら一曲でも多く曲を作ってほしい」という言葉も印象的でした。

アマチュア時代って、業界の人からいろいろアドバイスをもらう機会があると思うんです。でも、その言葉をすべて真に受ける必要はない。僕自身、若い頃は周りの意見に左右されてしまったことがありましたが、プロになってみると「あの時言われた哲学って、別に正解じゃなかったな」と思うことがたくさんあります。

――「正解はない」ということでしょうか。

そうです。音楽に正解も間違いもありません。誰かが言う「こうあるべき」という言葉に惑わされず、自分が良いと思うものを突き詰めてほしい。今の時代の「当たり前」じゃないことが、次の時代の「当たり前」になることもある。この本を通して、そこを一番伝えたかったかもしれません。

■20周年を迎えてもなお「自分はまだまだ」

――アーティスト活動20周年を迎えられましたが、これからの展望を教えてください。

本にも書きましたが、作曲家として「まだまだだな」と思うことばかりです。劇伴の世界には菅野よう子さんや久石譲さんのような素晴らしい人達がいらっしゃって、その方々と比べれば自分なんて…と、いつも思い知らされます。少しでもその領域に近づけるように、ステップアップしていきたい。自分だからこそ作れる道を切り拓いていきたいですね。

――最後に、読者やファンの皆さんへメッセージをお願いします。

もし僕のことを「すごい人」だと思ってくれている方がいるとしたら、この本を読んで「決してそんなことはない」と知ってほしいです(笑)。皆さんと同じように悩み、不安と戦い、窮地では心を揺らしながらやってきました。

決してスーパーマンではない僕のような人間でも、こうしてプロとしてやっていける。この本が、皆さんの背中を少しでも前向きに押せるものになれば嬉しいです。

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