
大好きな男子にチョコを渡そうとした瞬間、かぶせ気味に「いらない」と言い切られる。バレンタインデーではありがちなシチュエーションだが、この物語はそこで終わらない。渡したい女子と、断りたい男子。互いに一歩も引かない2人のやり取りは、読者の想像を軽々と超えていく。
■「いらない」から始まった、受験生同士の知力戦



女子がチョコを差し出すより早く放たれた男子の一言は、「いらない」。この時点で、普通なら物語は終幕を迎えるはずだ。しかしこの2人は、感情だけで動くタイプではなかった。受験生という立場を盾に冷静さを保つ男子と、それでも引き下がらない女子。静かながらも火花が散る、独特の攻防戦が始まった——。
■理屈が通った二人に「待って。笑笑」読者がざわついた
本作を読んだ人からは「こいつ…強い!」「待って。笑笑」といった声が相次いだ。笑いの正体は、どちらの主張も理屈が通っている点にある。女子は想いを押し付けるわけでもなく、男子もただ冷酷なわけではない。感情に流されない“強メンタル受験生男子”と、簡単には引かない女子による真顔ギャグ合戦が、結果として強烈な笑いを生み出している。
■斜め上の展開がバレンタインを裏切り続ける!
物語は、甘酸っぱい恋愛イベントとしてのバレンタインを期待すると、見事に裏切られる。チョコを巡る話でありながら、展開はどんどんストイックな方向へ。そのズレこそが、この作品最大の読みどころであり、短編ながらも強烈な印象を残す理由だ。
■“ぶっ飛び設定”を支える杏乃さんの作風
作者の杏乃さん(@sakana32929)は、小学館「新人コミック大賞」で佳作を受賞しデビューした漫画家である。受賞作「わたしのために死んで」では、ドキドキしすぎると死んでしまうという大胆な設定で話題を集めた。今回の作品にも、その系譜を感じさせる発想力と、ギャグへの振り切り方がしっかりと息づいている。
■キャラ先行だからこそ成立するギャグ構造
杏乃さんの創作スタイルは、テーマ先行ではなくキャラクター先行だという。設定に合う人物を先に立ち上げ、そこからストーリーを後付けしていくことで、理屈は通っているのにどこかおかしい展開が生まれる。その積み重ねが、本作の独特なテンポ感につながっているのだ。
■シリーズの真価はホワイトデーで完成!?
「受験生とバレンタインデー」には、「受験生とホワイトデー」という続編も存在する。バレンタインのお返しに挑む男子の行動が、再び読者のツッコミを誘う展開となっており、2作セットで読むことでこのシリーズの完成度がより際立つのだ。どちらも全4ページの短編のため、サクッと読めるのも魅力的!
取材協力:杏乃(@sakana32929)
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