
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『帰りたくない女児と無視できない不良の話』を紹介する。「comico」で『屈折くぅちゃん。』を掲載中のponさんが、8月31日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、2000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、ponさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■飾らない言葉の女児と優しい不良の何気ない日常

雨が振っている中、傘がなくその場から動けない女の子を見つけた不良。不良は「この傘やるから帰れ」とぶっきらぼうに言うが、困っている女の子を助けようとしていた。しかし女の子は、一緒に帰ることを提案する。
後日、1人で公園のベンチに座っている女の子に遭遇した不良。女の子は前回の傘のお礼を伝え、2人は漫才のような掛け合いを続ける。その後、女の子が家に帰りたくないことを察した不良は、暇だからと気が晴れるまで話に付き合った。さらに別の日も、2人は顔を合わせるようになり…。
本作を読んだ人たちからは、「2人の将来が見たい」「おもしろい」「結婚までの話が読みたい」「格ゲー本当は強い?」など、多くのコメントが寄せられている。
[HEAD]作者・ponさん「たくさんの作品の要素とかおもしろさが、組み合わさって生まれた」本作[/HEAD]

――『帰りたくない女児と無視できない不良の話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
話をつくるとき、その根幹にあるアイデアをまず考えるのですが、この話の場合は、普通の漫画なら雨の日に男女間でなにか助けられたりしたら、そこで感謝したり恋心が芽生えたり…となるだろうと。なので、「そうならなかったら?」というところからスタートしたように思います。しかし単に感謝されないだけで終わったら嫌なやつで終わるので、そこをおもしろくなる感じにするためにあれこれ考えました。結果、小学生の女の子になり、仏頂面な不良男子となりました。
――本作は漫才のような掛け合いが非常に印象的でした。本作を描く際に参考にしたものがあればお教えください。
ありがとうございます!この漫画シリーズは通常の漫画の作り方・構成と違うやり方をしていて、会話が中心なために、このような掛け合いで話が進むという形になっています。基本的に1つの場面だけで進むので、それを活かしたものになりました。特に参考にした作品はなかったのですが、これまでに触れてきた、たくさんの作品の要素とかおもしろさが、組み合わさって生まれたのだろうなと思います。
――本作のキャラクターである、帰りたくない女児と無視できない不良の性格やキャラクター情報についてお教えください。
現時点で明確にしていない部分もあり、また実のところ固まっていない部分もあります。女の子のほうは小学3~4年生あたりで、なにか家に帰りたくない事情があり、外で時間をつぶしています。不良男子とのやりとりをみてもわかる通り、ちょっとクセ…個性的な面があるのか、学校でも周りとあまりなじめないでいます。そのため時間をつぶすにも友達と遊ぶこともなく、ただ公園で座っていたり町を歩き回ったりしているようです。雨宿りのときに素直じゃない反応をしたときも、不良男子が怒りもせず対応してきたので興味をもったのでしょう。後日再び再会したときも、彼のほうから話しかけてきたのも大きかったと思います。不良男子のほうも、あんまり感情や表情を崩さないので、周りからは距離を置かれている状態だと思います。こちらも家の事情で家族や大人への不信感が強く、1人でいることが多いです。だからといって暴力的かというとそんなことはなく、結構、いろんなことで傷ついてきています。そんな経緯もあり、女児の言動から「なにか」を察してしまい、彼なりに気を使っていくようになります。表に出さないのと、女児のほうも気づいているのかいないのか?というところが面白いのではないかと思っております。
――この2人がもう少し年齢を重ねてからの構想はあるのでしょうか?
私は変わらない関係の中で続いていく話が好きです。気持ちとしては、いけるところまでこの感じでいきたいなぁと思っています。とはいえ、2人の背景を考えますと、なにか問題が表面化しそうな感じもあります。そうなるとどうしても、物語が暗くなってしまいそうで、それはなにかちがうかなぁと…。いまの雰囲気が好きなので、できればこの感じを積み重ねて、少しずつ時間が過ぎていくようにしたいと思っています。当初は最初の雨宿りの話で終わっていました。反響が大きく、自分の中でもこの2人の話の先が浮かんだので描いてみたら、これまたいい反応をいただいてうれしいです。今はなにか兄妹のような、親戚のお兄ちゃんと姪っ子のような感じなので…それがどうなっていくかは、やっぱり積み重ねていかないとわからないですね…。このままみなさんの応援と、自分の中で2人のやりとりでいい感じのものが浮かぶといいなぁと思います。2人の話も漫画シリーズの1つのエピソードなので、自分の中で納得いく話が浮かぶか、みなさんからの反響が大きかったりすると、長く続けられるだろうなぁと思います。
――今後挑戦してみたいジャンルやテーマがありましたらお教えください。
いままであれこれ描いてきましたが、いまの漫画シリーズはたくさん読んでもらえているので、まだいろんな物語が描けるかなぁと思っています。やっぱり反響あると続くんですよね!ただ、いまの形では長い物語は描けないと思うので、自分の中でいけると思えたテーマやアイデアが浮かんだら、ぜひそういうものを描いてみたいと思います。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも応援やコメントをいただきありがとうございます!かなり変わった形の漫画ですが、たくさん読んでもらえて励みになっております。この漫画シリーズを描き始めるとき、世間でのつらい話を見聞きしていたので、少しでも読んだ人が気軽に楽しめるように、(だいたい)最後はハッピーエンドになるような物語を描こうと思ってはじめました。読んでちょっとでも気持ちが楽になってもらえていればうれしいです。今後とも応援と気力の続く限り描いていきたいと思いますので、ぜひ応援をよろしくお願いしますーっ!

