●見ていなかった隠匿の様子
検察官からは、当時の警備手順について確認があった。
検察官:警備業務では、どういう点があれば声かけをするのですか?
被告人:「商品を手に取る」「隠匿する」「目を切らさず退店するのを見る」の3つです。
検察官:今回、確認が漏れてしまったのは?
被告人:「隠匿する」行為です。
検察官:声がけをやめようとは思わなかったのですか?
被告人:隠匿行為があったと判断したので。
被告人は、商品を手にしたり戻したりする不審な動きがあったと述べ、「リュックに入れる動作を見た」と供述した。取り調べでも「隠すのを見た」と説明していた。
誤りに気づいた後も引き返せなかった理由について、被告人は「メンタルの弱さ」「隠し通すしかないと思った」と述べた。
現在は心療内科に通っているが、法廷での受け答えからは、思い込みによる判断を修正できなかった側面も見て取れた。
●「自己中心的な犯行で、偽装を試みている点も悪質」
判決は懲役1年6カ月、執行猶予3年だった。
裁判官は、会社の信頼を損なうと考えたうえでの犯行は自己中心的で、偽装を試みている点も悪質と評価した。一方で、再犯防止に向けて医師の指導を受けていることなどを考慮し、執行猶予を付した理由を説明した。
法廷で被告人は、被害者に対し「長時間拘束させ、多大な恐怖を与えてしまい大変申し訳ない」と何度か謝罪の言葉を口にしていた。その言葉が、被害者の心情をどこまで踏まえたものだったのかは、判然としないままである。

