白内障の初期症状は日常生活に徐々に影響を与え始めますが、その変化は気づきにくいことがあります。視界のかすみや光に対する異常な反応、色の見え方の変化など、白内障特有のサインを早期に発見することで適切な治療につなげることができるでしょう。
ここでは、見逃してはいけない白内障の重要な初期症状について詳しく解説します。

監修医師:
花房 彩(医師)
2013年埼玉医科大学卒業。卒後、埼玉医科大学病院にて初期研修を行い、同院眼科に入局。
2019年より行定病院、2022年より小江戸眼科内科、2025年よりくらかず眼科に就職。
【資格】
日本眼科学会 眼科専門医
白内障の初期症状を見逃さない重要なサイン
白内障は、目の水晶体が濁る疾患で、視界が霞んだり、ぼやけたり、視力が低下したりする症状が現れます。初期段階での発見と適切な対応により、日常生活への影響を抑えることが可能です。
初期症状として現れる視力の変化
白内障の初期症状で多くの方が経験するのが、視界のかすみです。まるで薄い膜がかかったように見えることがあり、特に遠くの物体がぼやけて見える傾向があります。この症状は、水晶体の中央部分から始まることが多く、徐々に周辺部に広がっていきます。
また、近視の進行も重要な初期症状の一つです。これまで老眼鏡を使用していた方が、突然近くの文字が見えやすくなることがあります。これは「核硬化性白内障」と呼ばれるタイプで、水晶体の中心部が硬くなることで屈折率が変化し、一時的に近視の状態になるためです。
コントラスト感度の低下も見逃せない症状です。白と黒の境界線がはっきりしない、グレーの濃淡が判別しにくいといった変化が現れます。これにより、階段の段差が見えにくくなったり、薄暗い場所での歩行に支障をきたしたりする可能性があります。
光に対する異常な反応と見え方の変化
白内障の特徴的な症状として、光に対する過敏反応があります。太陽光や車のヘッドライト、室内の照明などが異常にまぶしく感じられ、目を開けているのが辛くなることがあります。これは「羞明」と呼ばれる症状で、濁った水晶体が光を散乱させることで起こります。
夜間の運転時には、対向車のライトが星のように放射状に広がって見える「ハロー・グレア」が現れることがあります。これらの症状は、特に夜間運転の安全性に大きな影響を与えるため、早期の対応が重要です。
色の見え方にも変化が生じます。青色系の色が黄色っぽく見えたり、全体的に色彩が鈍く感じられたりすることがあります。これは、白内障により水晶体が黄色く濁ることで、色の透過性が変化するためです。特に、青色の光の透過が阻害されやすく、色の識別能力に影響を与えます。
まとめ
白内障の初期症状として、視界のかすみ、近視の進行、コントラスト感度の低下、光に対する過敏反応、色彩の変化などが現れます。これらの症状は水晶体の濁りが原因で起こり、特にハロー・グレア現象や羞明は日常生活に大きな影響を与えます。
早期発見により適切な対策を講じることができるため、これらのサインを見逃さないことが重要です。
参考文献
「白内障手術の費用目安」— 単焦点レンズ/超音波手術の保険適用時の費用目安(Hakunaisho Lab)
多施設での白内障手術の諸問題に関する資料「白内障手術の今を考える」
多焦点眼内レンズとの付き合い方

