智也と女が愛を育むたび、春香は「違反金」を加算していく。さらに、両家を招集した春香は、不倫の証拠を突きつける。激怒した義父と、息子の愚行に愛想を尽かした義母…そして、実母が春香の味方となり、反撃の布陣が整う。
合計90万円…ふくらむ請求額
智也が家を出てから2か月。
私の元には、探偵から定期的に「報告書」という名の、請求明細が届いていた。
「奥さま、残念ながら……また会っていますね。それも、かなり頻繁(ひんぱん)に」
送られてきた写真には、女とアパートに当たり前のように出入りし、スーパーの袋を下げて、仲睦まじく歩く智也の姿がバッチリと映っていた。回数は、確認できただけでも、計9回。
「合計90万円。そして、精神的苦痛に対する追加の慰謝料…。ふふ、どんどんふくらむわね、請求額」
私は領収書を整理しながら、冷酷に計算機を弾く。
彼らは、自分たちが愛を育んでいるつもりだろうが、私から見れば、彼らの一挙手一投足が、すべて金に換算されるスコアボードのようなものだった。
義実家にも報告
「不倫? 春香さん、それは本当なの……?」
私は、智也が家を出て行ってまもなく、迷わず両家を招集した。
私の実家と、厳格なことで知られる義実家の両親。おも苦しい空気の中、私は探偵が撮影した証拠写真の数々を、静かに、しかし、力強くテーブルに並べた。
「智也、お前……! 妊娠中の春香さんを置いて、何を考えているんだ!」
義父の怒号がリビングにひびきわたった。
義母は、あまりのショックに口を押さえ、涙を流していた。智也はこれまで、「仕事が忙しい」「春香の情緒が不安定で距離を置いている」とウソをつき、自分の不実を正当化していたのだ。
事実を知った義父は、その場で智也に電話をかけ、
「お前を息子とは思わない。今すぐ春香さんに謝罪し、すべてを清算しろ!」
と、どなりつけたが、智也はそれを鼻で笑って電話を切った。

