「温泉旅行、もうすぐだね!すごい楽しみ!」
私は凍りつきました。
「怪しい」という疑念は、実は数か月前からありました。帰りが遅い日が増えたり、スマホのロックを妙に気にしたり。でも、私はずっと目を背けていました。クロだと確定してしまうのが怖かったからです。私が「知らない」でいれば、この家族は壊れないと思っていたので…。
でももう、こんな事実を知ったら引き返せない。
「ねえ、なんかメッセージがきてるよ」
あくまで冷静なふりをして正勝にスマホを渡した直後、血の気が引いた顔を見て、全てを悟ったんです。子どもが眠った後、正勝と話し合いをしました。
「ねえ、どういうことなの?」
絞り出すような私の声に、正勝は観念したように小さな声で言いました。
「ごめん、ちょっと…魔が差して…」
夫があっさり認めた不倫
スマホに届いたメッセージが決定打となり、夫への不倫疑惑は確信へと変わりました。「魔が差した」なんて、言い訳の常とう句ですね。
ですが、娘たちにとっては良き父親である夫。さゆりは、「自分さえガマンをし、目をつぶれば…」と考え、許してしまいます。ところがその直後、夫からとんでもない提案をされてしまいます…。
なぜ?ただの風俗嬢と別れるだけなのに…
「彼女とは関係を切るつもり。でも、相手にもちょっとワケがあって急に切るのは気が引けて…。必ず別れるから、区切りをつけるのに、1か月だけ待ってくれないか?家族が大事だからとはっきり言って、以降は絶対に会わないし連絡も取らないから」
風俗嬢と別れるのに1か月も必要?単にお店に行かず、連絡を取らずにしたらいいんじゃないの?私には理解できませんでした。しかし、ここで彼の要望をのまずに戦う気力はもうありませんでした。真夜中ですし、明日も育児も家事も続くし、もう疲れてしまったのです。
「わかった。絶対に整理して」
「約束するよ」
その日から、正勝は相変わらず子どもたちと遊び、何事もなかったかのようにふるまいました。しかし、私の心には黒い塊が居座り続け、時折、彼が子どもたちに触れるのを見るだけで、言いようのない嫌悪感を覚えるようになっていました。
彼の優しい笑顔も、全てが嘘に見えてしまう。もう私は、彼を心から信じられないのかもしれません―――。
なぜ、風俗嬢と別れるのに、1か月も猶予が必要なのでしょう?さゆりは、日々の家事と育児に追われる身。今回のことも、許してしまいました。
ですが、夫が子どもと触れ合う姿に嫌悪感を覚えるようになってしまったのです。一度の裏切り行為が、さゆりの心に大きな傷を作ったのです。

