友人から不倫を勧められている?
「……相手は、どんな人なの?」
「会社の取引先の人。彼も奥さんと冷え切ってるんだって。お互いに補い合ってるんだよ」
香苗は自分の職場で相手を見つけてしまったらしい。さらに香苗はこう続けた。
「朱莉はさ、誰かに抱かれたいなって思うことはないの?」
直球すぎる質問に、私はたじろいだ。
「私は…確かに寂しいと思うことはあるけど、夫以外に抱かれたいとは思えないかな…」
香苗の顔から、ふっと表情が消えた。
「きれいごとだね。あと1年、2年って拒絶され続けたら私の気持ちがわかると思うよ。我慢の限界だよ」
ランチの味は、もう全くしなくなっていた。 親友だと思っていた香苗が、急に遠い世界の住人のように見えた。
「ねえ、香苗さ、不倫する前にご主人と話し合いすることはできなかったの?」
その一言が、導火線に火をつけてしまったらしい。香苗の表情が一気に敵意に満ちたものに変わってしまった―――。
あとがき:鏡合わせの正義と本能
香苗の「不倫のおかげで夫に優しくなれる」という言葉に、怒りと共感のどちらを抱いたでしょうか。自分を否定し続ける配偶者との生活は、心を摩耗させます。香苗にとっての不倫は、壊れないための「劇薬」だったのかもしれません。
対照的に、まだ夫との対話を信じたい朱莉。二人の価値観が激突するこのシーンは、どちらが正しいかではなく、どちらが自分にとって「耐えられる地獄か」を突きつけています。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

