
高知県土佐清水市の窪津共同大敷組合と土佐清水市観光協会が協働し、「漁村再生×観光振興」プロジェクトが本格始動した。神経締めの第一人者・長谷川大樹氏を招聘し、地域の強みを再定義する同プロジェクトの第一歩として、2月17日(火)に京都で魚の品評会を開催する。
漁村の危機を救う、官民一体の改革がスタート
高知県最南西端に位置する窪津大敷漁港は、黒潮の本流と急峻な海底地形が生み出す恵まれた海域にあり、「質の良い魚が揚がる漁港」として知られてきた。しかし近年は、漁業者の高齢化、後継者不足、船舶の老朽化、採算性の低下など、日本各地の漁村と同様の問題を抱え、地域の将来に危機感が高まっていた。
この状況を転換するべく、2025年9月に就任したのが41歳の新代表・林氏。「窪津には、魚そのものの質という圧倒的な強みがある。その価値が市場に正しく伝わっていない」という思いのもと、林氏は就任直後から、漁村再生の鍵として“魚の価値向上”に力を入れる方針を明確にした。これに呼応したのが、昨年度より「究極鮮度のまち」構想を推し進める土佐清水市観光協会だ。漁港の「生産(漁業)」と観光協会の「発信(観光)」が一体となり、地域全体で新たな経済循環を生み出す、官民一体の改革が始まった。

長谷川氏による神経締めの技術指導
その第一歩として決断されたのが、全国で活躍する神経締め技術者・長谷川大樹氏の招聘だ。
神経締めの技術者・長谷川大樹氏
長谷川氏は、仲買人であり神経締めの専門家で、テレビ番組やドキュメンタリーでも多く取りあげられてきた。魚の鮮度保持と旨味の維持を科学的な視点で体系化し、「漁業者の収益構造を技術で変える」取り組みを行っている。
神経締めは、魚のストレスや腐敗を抑え、鮮度の頂点を長時間保つ高度な処理技術で、特に定置網が盛んな地域では大きな付加価値を生むと期待されている。これは、窪津にとってまさに必要な技術だった。
窪津大敷の船長を対象に実施された神経締めの講習会では、長谷川氏の実演後、参加した船長たちが神経締めを施したムロアジやシイラを試食。ムロアジを口にした船長は、「普段は刺身にすると水っぽいが、今回は身がしっかりしてもっちりしていた。同じ魚とは思えないほど違う」と驚きを隠せなかったそう。また、シイラの試食では、 「これまであまりおいしい印象がない魚だったが、今日はカンパチのような重みがあり、臭みがなくて驚いた」という声が挙がり、漁師自身が自分たちの魚のポテンシャルを再認識する場となった。
