インフルエンザは高熱や強いだるさが目立つ病気ですが、風邪と同じように鼻水や鼻づまりが出る場合もあります。鼻がつまると眠りにくくなり、口呼吸で喉が乾いてつらく感じることもあります。このページでは、インフルエンザによる鼻水の特徴、治るまでの目安、つらいときの対処法、市販薬の成分の考え方を解説します。受診が必要なサインも併せて確認してください。

監修医師:
高宮 新之介(医師)
昭和大学卒業。大学病院で初期研修を終えた後、外科専攻医として勤務。静岡赤十字病院で消化器・一般外科手術を経験し、外科専門医を取得。昭和大学大学院生理学講座生体機能調節学部門を専攻し、脳MRIとQOL研究に従事し学位を取得。昭和大学横浜市北部病院の呼吸器センターで勤務しつつ、週1回地域のクリニックで訪問診療や一般内科診療を行っている。診療科目は一般外科、呼吸器外科、胸部外科、腫瘍外科、緩和ケア科、総合内科、呼吸器内科。日本外科学会専門医。医学博士。がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)修了。ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)。BLS(Basic Life Support)。
インフルエンザによる鼻水の特徴

なぜインフルエンザで鼻水が出るのですか?
インフルエンザはインフルエンザウイルスが鼻や喉などの気道の粘膜に感染して起こります。粘膜にウイルスが付着して増えると、それを排除するために免疫反応を起こし、粘膜に炎症が生じます。炎症が起こると血管が広がって粘膜が腫れ、分泌物が増えます。この分泌物が鼻水です。鼻水には、粘膜を乾燥から守り、異物をからめ取って体外へ運び出す役割があります。
インフルエンザでは全身症状が強く出やすい一方で、鼻水や鼻づまり、喉の痛み、咳などの上気道症状が加わることがあります。鼻水が出ること自体はウイルスと戦っている反応のひとつと考えられます。
インフルエンザの鼻水にはどのような特徴がありますか?
鼻水は、発症の早い段階では透明でさらさらしている場合が多く、経過とともに粘り気が増す場合があります。途中で黄色っぽく見えることもありますが、鼻水の色だけで細菌感染の有無は判断できません。鼻を強くかみすぎると耳につながる管(耳管)に負担がかかり、耳の痛みや違和感が出ることもあります。また、鼻水が多い状態が続くと、鼻の下の皮膚が荒れてヒリヒリしやすくなります。
インフルエンザの鼻水と風邪の鼻水はどう違いますか?
鼻水の性状だけで、インフルエンザと風邪を見分けることはできません。一般に、風邪は喉の痛み、鼻水、咳などの症状が中心で、発熱があっても高くならない場合が多いとされています。
一方、インフルエンザは38度以上の発熱や強い倦怠感、筋肉痛、関節痛などの全身症状が急に出るのが特徴です。そのうえで、鼻水や咳などの症状がみられることがあります。
また、同じ鼻水でも、花粉症などのアレルギー性鼻炎では、鼻や目のかゆみ、くしゃみが続くなどの特徴が出る場合があります。発熱や強いだるさがある場合は感染症を疑い、無理をせず休養を優先してください。
インフルエンザの鼻水はどのような経過をたどって治りますか?
インフルエンザは感染してから発症までに1日から3日程度の潜伏期間があります。発症すると、まず発熱やだるさが強く出て、数日かけて熱が下がっていく流れが一般的です。鼻水や鼻づまりは発症の早い段階から出る場合もあれば、熱が下がる頃に目立ってくる場合もあり、個人差があります。
全体としては1週間程度で軽快することが多いとされていますが、咳やだるさが残る場合もあります。鼻水や鼻づまりも、熱が下がった後にしばらく続く場合がありますが、多くは日ごとに軽くなります。鼻症状が10日から2週間ほど続く場合や、いったん軽くなった後に悪化する場合は、別の病気の合併も考えるため受診を検討してください。
インフルエンザの鼻水が辛いときの対処法

インフルエンザで鼻水が止まらないときの対処法を教えてください
インフルエンザ罹患中に鼻水がつらいときは、まず安静と保湿を心がけましょう。部屋の湿度を適度に保ち、喉や鼻の粘膜を乾燥させないことで鼻水の通りをよくできます。また、鼻をかむ際は片方ずつ優しくかむようにして、強く一度にかまないことが耳への負担を減らすコツです。鼻水が止まらず肌荒れする場合は、鼻の下にワセリンを薄く塗ると皮膚の保護になります。
インフルエンザで鼻が詰まっているときはどうすればよいですか?
室内の湿度を調整し、寝るときに枕を少し高くすると呼吸が楽になります。さらに、一時的に温かい蒸しタオルで鼻周囲を温めると血行がよくなり、鼻水や鼻づまりの緩和につながります。
インフルエンザの鼻水は病院でどのように治療しますか?
医療機関ではまずインフルエンザの迅速検査などで診断が確定され、必要に応じて抗インフルエンザ薬が処方されます。これら抗ウイルス薬は発症から48時間以内に使うと熱の続く期間を1〜2日程度短縮し、鼻や喉からのウイルス排出量も減らす効果が期待できます。
一方、鼻水自体を直接止める治療は対症療法となります。具体的には、抗ヒスタミン薬が処方されることが多く、ヒスタミンの作用を抑えて鼻水やくしゃみを和らげます。例えばクロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン薬は、インフルエンザの鼻症状に対してよく用いられます。症状や患者さんの年齢によってはカルボシステインなど粘液をさらさらにする薬や、気管支拡張薬が処方される場合もあります。鼻づまりがひどい場合は、小児科や内科で血管収縮薬を含む点鼻薬を短期間使うこともあります。
インフルエンザの鼻水に効果がある市販薬の成分を教えてください
インフルエンザの鼻水に効果がある市販薬の成分として代表的なものには、主に抗ヒスタミン薬と鼻粘膜の血管収縮成分があります。
抗ヒスタミン成分は、鼻粘膜のアレルギー反応や炎症反応を抑えることで、鼻水やくしゃみを減らす作用があります。具体的には、クロルフェニラミンマレイン酸塩(マレイン酸クロルフェニラミン)、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クレマスチンフマル酸塩などの第1世代抗ヒスタミン薬が総合感冒薬や鼻炎薬に多く配合されています。第1世代の抗ヒスタミン薬は効果が強めである一方、眠気が強く出ることが特徴です。また、眠気が少ない第2世代抗ヒスタミン薬として、フェキソフェナジン塩酸塩やロラタジンなども市販されています。抗ヒスタミン薬は鼻水をもとから抑える効果がありますが、眠気などの副作用にも気を付けましょう。
鼻粘膜の血管収縮成分は、鼻づまりを解消するために用いられます。代表的な内服薬にはプソイドエフェドリン塩酸塩があり、鼻粘膜の血管を収縮させて鼻づまりの症状を改善します。即効性を求める場合は、点鼻薬としてナファゾリン塩酸塩やテトラヒドロゾリン塩酸塩などの血管収縮剤も市販されています。これらの点鼻薬は使用後数分で効果が現れますが、連続して使用すると効果が低下し、逆に鼻づまりが悪化する薬剤性鼻炎を引き起こす可能性があります。そのため、使用は3日〜5日程度にとどめましょう。

