娘が小さいときは近くにいるのが心強かったのに…

娘が生まれたばかりのころは、両親の存在は心強いものでした。
しかし、娘の成長とともに自分なりの子育ての軸を持てるようになる一方で、両親からは、
「それは違う」「昔はこうだった」と、考えを否定するような言葉をかけられる場面が増えていきます。
思いを伝えようとしても最後まで聞いてもらえず、話はいつの間にか“親の正論”にすり替えられてしまう…。そんなやりとりを繰り返すうちに、栄子さんの中に「煩わしさ」が積み重なっていきました。

両親の価値観は、栄子さんの娘であり、両親にとっては孫にあたる美咲さんにまで向けられるようになっていきます。
妊娠中の美咲さんに対して、髪の毛の色について指摘したり、「仕事は辞めないの?」「子どもがかわいそうじゃない?」「男に育休なんて必要ないだろう」そんな言葉をかけることもありました。


娘の考えを十分にくみ取らないまま投げかけられる意見に、栄子さんは「これは単なる価値観の違いとして受け止めるには、少し苦しいのかもしれない」と感じるようになっていきました。
もはや自分ひとりの問題ではありません。
次の世代にまで、同じ言葉や考え方が向けられていく──。その現実を前に、栄子さんは改めて、両親との距離感について考えざるを得なくなったのでした。

外でも感じ始めた「変化」
誰にでも説教モードで話す父にヒヤリとする場面が増えていったそうです。
わざわざ訪ねてきた元教え子が転職を考えていると話すと、彼の状況も汲み取らず、
「最近の若者は打たれ弱い」「昔はもっと大変だった」とピシャリ。
“正しいことを教えてあげている”という前提で投げかけられる言葉は、受け取る側の考えや選択を否定されたように感じてしまうものでした。

両親と一緒に訪れた飲食店で、父が店員さんに対して強い口調で不満を訴え、対応をめぐってトラブルになることもありました。警備員が呼ばれる場面もあったといいます。

その場では栄子さんが間に入り、謝罪することに。
警備員が呼ばれる事態になったことで、栄子さんは「これはもう、身内の問題として済ませてはいけないのかもしれない」と感じるように…。
一緒に外出することにも、両親だけで外出させることにも、次第に不安を感じるようになっていきました。

