一般的なケアラーとヤングケアラーの一番の大きな違いは「ケアラーになることに本人の意思がはたらくかどうか」という点です。
世間一般には「長男だから」「嫁だから」「妻だから」などの理由で家族の介護を行うことを明に暗に要求されることもあります。
しかし、それは絶対ではありません。
介護保険サービスを利用してもらうなどでケアラーとならない選択肢も用意されています。
▶前回のコラム:関西人気TV番組の「ヤングケアラー騒動」 その経緯と騒動から見えたもの①

一方、18歳未満のヤングケアラーの場合、そうした選択肢があるケースは殆どありません。
例えば、親が視覚などに障がいを持っていたら、子どもは物心がついたときから親のサポートを行っているでしょう。
また、最近は親の一方あるいは両方が外国人というケースも増えています。
日本語力が十分でない場合、子どもが親の通院や行政手続きに付き添って通訳をするというケースもあります。
これもヤングケアラーに定義されます。
しかし、こうした場合はケアラーになることは本人にとってもごく自然な流れと言えますから「ケアラーをやらされている」という感覚は少ないでしょう。
もちろん、介護をすることによって勉強や遊びの時間が取れないなどの影響がでることは考えられますから、それに対するサポートは必要です。
それとは逆に、ヤングケアラーの場合は、いわゆる「毒親」と言われる人に支配され「ケアラーを強いられている」と思われるケースがあります。
前回のコラムで紹介したテレビ番組でも、そう思える内容がありました。
製作上の演出が全く無いと仮定しての話ですが、番組内で外出から戻った母親が、長男に食事の支度を命じるシーンがありました。
母親(自営業だそうです)が支度をできない事情があるとも思えませんでしたし、子どもに手伝いを依頼するにしては口調などが強かったように思えます。

つまり、この件は、本来は両親が行うべき家事・育児を長男に丸投げしているとも解釈できます。
もちろん、家族ですから助け合うことは大事ですし、家族それぞれの事情や考え方があることにも考慮しなくてはいけません。
しかし、前回のコラムでも紹介したように、この件では長男がテレビ番組に「疲れた。1日だけでいいから替わって欲しい」と依頼をするなど、明確にSOSを発信しています。
育児放棄や児童虐待に問われる可能性も否定できません。
このように、ヤングケアラー問題に対しては、単なる介護の問題にとどまるケースと、親の子どもに対する接し方を含めた家族そのものの問題に起因するケースの双方が考えられます。
したがって、そのサポートについても、単に介護の専門家が公的な支援の仕組みや制度を紹介・説明するだけではなく、児童養護や心理カウンセラーなど多くの専門家が連携して関わっていく必要があるケースも多いのではないでしょうか。
また、今回長男がテレビ番組に相談をしたという点も注目すべきです。
現在、多くの自治体やNPO法人などがヤングケアラーの支援・相談窓口を開設しています。
しかし、小中学生が「何かあれば自治体に相談」という考えに至るとは思えません。
テレビやSNSなどもっと子どもたちが日常的に利用するツールの中に、支援・相談の入口を設けるべきではないでしょうか。
昨年、和歌山県の大学生団体が「家族の介護問題」をテーマに、その解決方法アイデアを県内の中高生のチームから募るコンテストを実施しました。
アイデアの中には、各学校に生徒が主催する部活動形式の「ヤングケアラーの語り場」を設置する、というものもありました。実際に発表者の学校では試験的に実施をしたそうです。
こうした形で、ヤングケアラーの実態が「見える化」されることから、適切な支援が始まるのではないでしょうか。
介護の三ツ星コンシェルジュ


